「今の若い選手達は焦っている」岡崎慎司が語る、試合に出られない時に大切な『自分を極める』感覚
『サッカーにおける時間の流れはすごく速い』
一つのきっかけで一気に状況が急変することもある。 元日本代表キャプテンの長谷部誠は『サッカーにおける時間の流れはすごく速い』というドイツ語の言葉をよく引用する。「思わぬタイミングでいきなりチャンスがきたりする」と。「だからこそ、常にそうしたいつか来るであろうチャンスに向けていい準備をすることが大切」だと長谷部は強調する。 岡崎も同じようなことを話していた。 「結局一選手にできることってそんなにないと思うんですよね。気をつけないと、うまくいかないことをどこか他人のせいにしてしまったりする。そうではなくて、やっぱり矢印は自分に向けてほしい。今の状況を必要以上に苦しいって思わないためにも、『自分を極めていく』という感覚でやってたほうがいいんじゃないかなって」 高い目標を掲げることは大切だ。一方で、そこへの意識が強くなりすぎてしまい、自分を見失ってしまったら元も子もない。自分の現在位置を見つめ、今自分に足りない部分と向き合い、自分の武器に磨きをかけ、チームで居場所をつかむために今できることに精一杯チャレンジする。時に寄り道になることもあるだろう。でもその寄り道は自身をより豊かにしてくれる。 これは何もプロサッカー選手に限った話ではない。どんな仕事をしている人にも当てはまることだし、育成現場でサッカーをしている子どもたちみんなにとっても大事な話ではないだろうか。 2005年にJリーグ・清水エスパルスに入団した時の岡崎は、8人FWがいる中で8番手だった。そこから彼は、あらゆる苦難やハードルを乗り越えて、ついにはプレミアリーグ優勝メンバーにまで飛翔。37歳となった現在も欧州の地でプレーし続けている。 そんな百戦錬磨の岡崎慎司の言葉には、数多くの含蓄が含まれている。 <了>
[PROFILE] 岡崎慎司(おかざき・しんじ) 1986年4月16日生まれ、兵庫県出身。ベルギー1部・シント=トロイデン所属。滝川第二高校を経て2005年にJリーグ・清水エスパルスに加入。2011年にドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトへ移籍。2013年から同じくブンデスリーガのマインツでプレーし、2年連続2桁得点を挙げる。2015年にイングランド・プレミアリーグ、レスターに加入。加入初年度の2015-16シーズン、クラブ創設132年で初のプレミアリーグ優勝に貢献。2019年に活躍の地をスペインに移し、ラリーガ2部のウエスカに移籍。リーグ戦12得点を挙げてチーム得点王として優勝(1部昇格)に貢献。2021年8月より同じくラリーガ2部のカルタヘナでプレー。2022年8月にベルギー1部・シント=トロイデンへ移籍。日本代表としても、歴代3位の通算50得点を記録し、3度のワールドカップ出場を経験。2016年にはアジア国際最優秀選手賞を受賞している。
インタビュー・構成=中野吉之伴