エヌビディア株、英花形運用者は懐疑的-AIブームの行き過ぎを警戒
(ブルームバーグ): 米半導体大手エヌビディアの株価は、年初からほぼ3倍に上昇しており、ウォール街のアナリストは同社に関して圧倒的にポジティブな見方をしている。
しかし、英国のウォーレン・バフェットと称されることもあるテリー・スミス氏は好印象を抱いていない。時価総額が世界最大となったエヌビディアについて、予測可能な収益フローや高い資本利益率の実績が欠けているとして懐疑的な見方を示した。同氏はポートフォリオのパフォーマンスの見劣りを招いていると認めながらも、エヌビディア株を避けている。
スミス氏は「人工知能(AI)の将来がどうなるか、私たちは分かっているとは言えないだろう。なぜなら人々が対価を支払うようなアプリケーションはほとんど存在しないからだ」と5日のインタビューで発言。「人々はこの投資を正当化するのに十分な規模と高い価格で払おうと思えるのか」と疑問を呈し、もしそうでない場合、エヌビディアは「問題を抱えることになるだろう」と語った。
スミス氏の警告は、AI業界の将来に対する懸念を突くものだ。この技術によって生み出される収益は、企業による巨額の投資を最終的に正当化するのかという疑問だ。こうした疑念は株式の売りを招き、エヌビディアは6月の高値から8月の安値までの間に時価総額が約9000億ドル(約138兆円)消失した。ただし株価はその後、持ち直している。
AI信奉者は、マイクロソフトやアルファベットといったエヌビディアの最大顧客が7-9月(第3四半期)にデータセンター機器などの固定資産に590億ドルの記録的な額を投じた後も、設備投資を増やすと表明している点を指摘する。エヌビディアの2025年通期の純利益率は56%になると、ストラテジストは予想。テクノロジー企業が競合各社に後れを取らないようAI支出を増やし続けていることが背景にある。
だが、スミス氏はそのような大幅な利益率は長続きしない可能性があると考えている。「AIが次なる目玉で、われわれがそれを正当化するために十分なお金を払うことになったとしても、こうした半導体の製造業者は1社にとどまるだろうか」と同氏。「素晴らしいリターンを上げていれば、競争を呼ぶことになる」と指摘した。