JAL、羽田のホテルにコックピット再現 シートは本物再利用、目の前に滑走路
羽田空港第2ターミナルに直結する羽田エクセルホテル東急は3月16日に、日本航空(JAL/JL、9201)機のコックピット部品を活用したコンセプトルーム「JAL Cockpit ROOM」を新設する。JALのパイロットが監修した操縦席のモックアップを設置し、一部に本物の部品を活用する。オープン前日の15日、報道関係者に客室を公開した。 【写真】夜間モードの操縦席 ◆シートは本物、目の前に駐機場 ボーイング767-300型機のコックピットを再現し、機長・副操縦士席とパイロットがフライト・マネジメント・コンピューター(FMC)の入力時に使うMCDU(Multiple Control Display Unit)には、廃材を活用した。シートは可動部が多いことから、指を挟む危険性などを考慮し、一部分をアクリルパネルなどでふさいだ。 計器類を再現したパネルやスラストレバーなど、一部の部品は新たに製作。実物を再現した。パネルにはモニターを備え、計器類の動きなどを動画で再生できるようにした。シートには操縦桿は備えず、シート位置を動かすことはできない。 JAL Cockpit ROOMはC滑走路に面した4階4235号室の1部屋のみ。壁にはJAL機の写真を飾るほか、窓からは57番や58番などのスポット(駐機場)が見える。定員は2人で、広さは28平方メートル。1室2人の利用料金は3万5300円からで、消費税・サービス料込み。宿泊税が別途かかる。 ◆夜間モードで操縦席“疑似体験”も JAL Cockpit ROOMは、JALグループの整備会社であるJALエンジニアリング(JALEC)が担当。JALECの矢田貝弦さんによると、企画は2年前にスタートし、試行錯誤を繰り返したのち、半年かけて製作したという。 今回の企画では、本物のコックピット部品を活用している。また、パネル製作にはJALのパイロットが監修し、コックピットの雰囲気を昼と夜の2モードで再現。夜モードではパネル照明の点灯や目の前の誘導路とからめることで、操縦席の雰囲気を疑似体験できるようだ。 2023年12月末に閉館した旧東京ベイ東急ホテル(千葉・浦安市)で、JALグループはコラボルームを展開。同ホテルでのコラボルームが好評だったことから、ホテル側の働きかけにより、同じ東急グループのエクセルホテルでもコンセプトルームを設定することにしたという。今回のコンセプトルームは期間を設けずに提供する。 JALグループは退役機をリサイクルやアップサイクルすることにより、廃棄物の削減を進めている。ライフベストやパイロットが使っていた紙製のエンルートチャート(航空図)をバッグなどに作り替えるほか、シートカバーをカバンやペンケース、バゲージタグなどにアップサイクル(作り替え)している。
Yusuke KOHASE