Google創業者サーゲイ・ブリンは最新AIのGeminiをどう思っているか(Google Tales)
動いているサーゲイ・ブリンさんを久しぶりに見ました。AGI Houseというインキュベーターが3月2日に主催した「Gemini 1.5」のハッカソンに、サプライズゲストとして登場したのです。 生成AIグラビアギャラリー ブリンさんは言わずとしれたGoogleの共同創業者。シャイなラリー・ペイジさんと違って昔からわりと発言していますが、2019年にスンダー・ピチャイさんにGoogleとAlphabetのCEOを任せてGoogleの社長を引退してからは、あまり表舞台に立たずに好きなことをして暮らしていたようです。まだ50歳なのに。 でも、AIを巡る最近の動向があんまり面白そうだったので引退から復帰してきたんだそうです。 ブリンさんが登場したイベントを主催したAGI Houseというのは、自身もAI(とかARとか)に手を染めている中国出身のロッキー・ユーさんが2023年1月に立ち上げた、自称「AIスタートアップ工場」。社名のAGIは、もちろんあのAGI(Artificial General Intelligence;汎用人工知能)のことです。パロアルト近郊のヒルズボローにある大邸宅でスタートアップにスペースを貸したり、ハッカソンを開いたりしています。写真を見るとプール付きの豪邸で、GPTのハッカソンとかもやっていたそうです。 Geminiのハッカソンなので、ブリンさんには当然のように会場から例のGeminiの画像過剰適応問題についての質問も出ました。これに対し、ブリンさんは「間違いなく画像の生成に失敗した」と淡々と語り「テストが徹底されていなかったことが原因だと思う。当然のことだけど、多くの人々を動揺させたのは間違いない」としつつ、その後改善に取り組んでいて、「見つけたテストケースのうち、少なくとも80%は改善されるはずだ」とも語りました。 さらに、Geminiがどちらかというと左(リベラル)寄りに傾くのがなんでだかは謎だが「われわれの意図ではない」とも。左寄りなのはGeminiだけでなく、OpenAIのChatGPTやイーロン・マスクさんがお気に入りのGrokもそうだと指摘。 幻覚(ハルシネーション)については、「ブレークスルーを期待することはできないが、少しずつ沈静化させるために取り組んでいくしかない」そうです。 会場からの質問は、Googleの主力財源である広告事業にも及びました。AIの台頭やサードパーティCookieの排除などで広告は破壊されるのではないかという質問に対し、ブリンさんは「それほど心配していない」と答えました。「ビジネスモデルは進化していく。広告は今後も広告であり続けるだろう。AIは広告をより適切に調整できるし」。 ブリンさんが大好きだったGoogle Glassについての質問もありました。あれについては「間違った決断をしたような気がする」けれど、「今でも私は(ARガジェットなら)軽量なフォームが好きだ」と語りました。Apple Vision ProやMeta Questについては「とても印象的だ」と。 ブリンさん、かなりざっくばらんに質問に答えていて、AIについてはかなり楽観的な印象です。もちろんAlphabetやGoogleの偉い人としてではなく、個人的な立場だからこそではあるのでしょうが、実際には今でもGoogleの大株主だし、ピチャイさんも大きな決定のときはブリンさんとペイジさんに相談していると報じられています。
佐藤由紀子@TechnoEdge
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