不適切会計が発覚した環境経営総合研究所、更生手続き開始決定
(株)環境経営総合研究所(TDB企業コード:987814391、資本金24億7000万円、東京都渋谷区南平台町16-29、代表松下敬通氏)は、9月30日に東京地裁より更生手続き開始決定を受けた。 管財人は、岩崎晃弁護士(岩崎・本山法律事務所、東京都中央区八丁堀4-1-3、電話03-6222-7231)。 当社は、1996年(平成8年)12月に設立。主に紙パウダー(成型可能な紙)を主原料にポリオレフィン系樹脂をバインダーとして開発された「バイオプラスチック」新素材の「MAPKA(マプカ)」の製造を手がけていた。同素材は、従来のプラスチック材料と同様に成形でき、「プラスチック以外の素材」の扱いとなるため、廃棄時に可燃物として処理が可能。プラスチック代替品として注目され、食品容器やコップ、箸のほか、ボルトやナットなどにも利用され、大手メーカーや小売り業者など幅広く得意先を築いていた。ほかにも、産業廃棄古紙を再利用した紙の水蒸気発泡体で、食品トレー、保冷箱等に利用されるとされる「earth republic(アースリパブリック)」、「MAPKA」をシート成形した「MAPKAシート」、「earth republic」と段ボールを組み合わせた保冷機能を有する「earth republic 保冷箱」の開発・製造も行っていた。2003年5月の千葉工場の開設を皮切りに、札幌工場や茨城工場、また米国や韓国にもJV(共同企業体)工場を開設。2022年8月に日本政策投資銀行、同年9月にSBIグループ、2023年3月に再び日本政策投資銀行から出資を受けるなどして企業規模を拡大させ、2023年8月期の業績は年売上高519億2635万円、当期純利益36億380万円、同期末時点の負債総額199億63万円と公表していた。この間、経済産業省や環境省などから賞を受賞していたほか、2022年度春の褒章で代表が「黄綬褒章」を受賞するなど、多方面から評価を得ていた。
しかし、今年7月に資本金の額を20億円減少し4億7000万円とする減資を公告。水面下では、過去から不適切な会計処理を行っていたことや資金流出などが発覚し、金融機関に対し返済猶予を要請するなか、8月20日に債権者から会社更生法を申し立てられていた。 負債は約246億円が見込まれる。