2ステ制は成功か?浦和は営業収入アップ!
優勝争いのヤマ場を増やすことでJリーグそのものの露出を増やし、新規スポンサーの獲得などの収入増につなげる――。サポーターの反対を押し切る形で、Jリーグが今シーズンから2ステージ制を復活させた背景にはこうした戦略が描かれていた。 収入のアップ額は10億円と試算されているが、総本山のJリーグが潤えば傘下のJクラブにも富が滴り落ちてくると考えるのが自然だろう。開幕から一度も首位を譲らず、無敗のままファーストステージを制した浦和レッズは、営業面で2ステージ制の恩恵を受けているのだろうか。 Jクラブの営業収益は、「広告料収入」と「入場料収入」の2本柱から成り立っている。大半のクラブが前者を柱としているのに対し、レッズは後者となっている点で一線を画している。 2014年度は58億5400万円の営業収益のうち入場料収入が19億8200万円、約34%を占めた。清水エスパルス戦が無観客試合となった影響で前年度よりも1億5000万円減となったが、それでも他のJクラブの追随を許さない数字だった。 レッズを除くJ1クラブの平均は、約20%にとどまっている。こうした現状を見れば、入場料収入がそのままレッズの営業収益を左右してくる言っていい。 優勝に王手をかけた今月7日の清水エスパルス戦。同時進行で戦っていたガンバ大阪が敗れれば歓喜の瞬間が訪れる一戦でもあったが、埼玉スタジアムに駆けつけたのは4万4424人。特にバックスタンドの2階は、半分ほどの入りにとどまっていた。 勝てばリーグ優勝が決まった昨年11月のガンバ戦は5万6758人。優勝へ一縷の望みをつないでいた名古屋グランパスとの最終戦も5万3091人で埋まっている。 こうした数字を考えれば物足りなさが残るが、レッズのフロント幹部の一人は「自力優勝がかかった試合ではなかったので」と冷静に現状を分析している。 「エスパルス戦に勝ってもガンバが負けなければいけないという状況が、去年のガンバ戦とはまったく異なりますよね。加えて年間優勝ではないという点で、ファンやサポーターの方々は冷静だったのではないでしょうか。ウチの場合はもともと1シーズン制を重視し、2ステージ制には反対していたので。ファンやサポーターからも『ファーストステージは通過点』という声が聞こえてきたのも事実です。もちろん、いざ2ステージ制が始まれば全力で取り組む所存でしたので、それがいまの結果につながっていますけど」 一方でトータルの観客動員数を比較すると、明らかな変化が生じている。 今シーズンはホームで8試合を開催し、32万3388人を動員している。昨シーズンの数字を比較すると、無観客試合を含めた8試合で27万1767人。2013年シーズンの同時期でも27万7656人となっている。 昨シーズンまではゴールデンウイークを終えると3万人台の観客数で推移していったが、今シーズンは5月16日のFC東京戦で4万2995人、同23日の鹿島アントラーズ戦でも4万1269人を動員してきた。 現時点での今シーズン最多を記録している5月2日のガンバ戦(5万3148人)を含めて、前出のフロント幹部は「ホームで全勝してきたことが大きい」とこう続ける。 「ファーストステージの優勝の行方を占うカードが3試合続きましたよね。そうした相手にすべて勝ってきたことが、集客につながったと思っています」