「子ども産んだことないでしょ?」発言に負けない――31歳になった朝ドラヒロインが見せる気迫・葛藤の凄み
後悔を滲ませながらも強さもやさしさも宿した声
第6話には、有村さんの演技で涙腺崩壊するシーンが……。 堕胎するつもりだった水季が翻意して、産み育てると決意した理由が描かれた回想シーン。 水季は中絶手術のために訪れた病院の待合室で、受診している女性たちが書き綴る「ご意見ノート」を見つけます。そこには、中絶後のとある女性の《どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います。》という言葉があり、水季は心打たれて出産したいと思うように……。 このノートの女性は手術直後の弥生だったのです。弥生と水季は一切面識がないのですが、自身が綴ったメッセージによって海がこの世に生を享け、その海がいま目の前にいるという運命的な展開。 このメッセージは有村さんのナレーションで語られるのですが、後悔を滲ませながらも強さもやさしさも宿した声の演技、鳥肌ものでした。 この弥生というキャラクターは、もし有村さんがずっと清純派のままでいたなら、決してたどり着けなかった境地の役柄だったように思えるのです。
9月23日放送の最終話、弥生も報われるのか?
2017年の映画『ナラタージュ』では、既婚者の高校教師と禁断の愛に溺れるヒロインを熱演し、こちらでは濃厚なベッドシーンもありました。2023年に主演したNetflix映画『ちひろさん』では、元・風俗嬢役を演じています。 こうして清純派から脱皮し、大人の演技派俳優に“成った”有村架純さん。 終盤に突入している『海のはじまり』の弥生は、自分は海の母親になれないのではないかと長らく葛藤した末に、夏に別れを告げるという悲しい展開になっています。 9月23日(月)放送の最終話で、弥生はどんな結末を迎えるのか。彼女も報われるハッピーエンドになってほしい。 そう願いながら、あともう少し、有村さんの大人の演技を堪能していきたいと思います。 <文/堺屋大地> 【堺屋大地】 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。
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