【特集】広島出身の映画監督・時川英之さん 「映画で平和のメッセージを」 リアルな広島を舞台に描く平和の物語
映画監督の時川英之さんは、被爆80年を機に、故郷の広島で「平和」をテーマに映画を制作しました。時川監督がこだわったのは、平和のメッセージをリアルな広島の街を舞台に描くことでした。 【動画】被爆80年に向け平和がテーマの映画を地元・広島で撮影 広島市出身・時川英之監督
11月22日から3日間にわたって、NTTクレドホールで開催された広島国際映画祭では、広島ゆかりの映画など、10の国と地域の25作品が上映されました。
作品のひとつ『惑星ラブソング』は、広島の若者を主人公に「平和」をテーマにした映画です。手がけたのは、広島出身の映画監督・時川英之さんです。
時川監督は、海外や東京で長く映像の仕事に携わり、12年前から故郷の広島を拠点に映画を制作してきました。今回初めて被爆80年を機に、平和をテーマにした作品に挑戦しました。
■映画監督 時川英之さん 「平和について何かやるとかっていうのは、荷が重いなと若いときには思っていたんですよね。どっかでやっぱり平和の物語っていうのをきちんと向き合って、自分なりに作れないだろうかっていうふうには思っていたんですけど。人が感じることができる『平和の物語』を作れないかなと思いました。」
映画は、広島の若者とアメリカ人観光客が出会い、過去と現在が交錯し不思議な事が起こる中で、平和な未来について考えるというファンタジーです。 ■映画監督 時川英之さん 「フィクションの映画の方が、若い人にも見やすいと思うし、物語の中に入れると、すごいいろんなシーンで心揺さぶられると思うし、考えさせられると思うので。この映画、平和についての答えは提示していないんすけど、考えてもらう機会を提案できるんじゃないかなと思います。」
映画の重要な場面の一つは、小学生が校庭での平和学習で、被爆樹木について学ぶシーンです。被爆したプラタナスの木が登場します。プラタナスの木は、監督の母校・広島市立天満小学校に実在しています。爆心地からおよそ1.3キロの天満国民学校でも、多くの児童・教職員が犠牲になりました。プラタナスには、原爆の熱線で焼かれた跡が今も残っています。