総務省がSIMロック解除を義務化へ ── 各種割引制度はどうなる?
総務省は、携帯キャリアが施している「SIMロック」の解除について、2015年度を目処に義務づける方針を明らかにしました。SIMロックおよびその解除とはどういうことなのか、義務化されるとなにが変わるのかなどについて見ていきましょう。
囲い込みの抑制と市場競争の活性化に向けてSIMロック解除を義務化
日本で市販されている大半の携帯電話やスマートフォンには、携帯キャリアによって「SIMロック」と呼ばれる制限がかけられています。端末を利用するには固有のID番号を付与した「SIMカード」を挿す必要がありますが、SIMロックとはこのSIMカードを他キャリアの端末に挿しても使えないようにする制限のことです。 日本では製造メーカーからキャリアが端末を買い取って販売する方式を採用しており、時には代理店へインセンティブを支払って端末の値下げを行います。しかし、低価格で購入して別のキャリアで使われてしまうと意味がないため、ユーザーを囲い込む意味でもSIMロックが施されてきました。 そして今回、6月30日に開催された総務省「ICTサービス安心・安全研究会」の「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第7回)」において、携帯キャリアに対するSIMロック解除の義務づけが指摘されました。この背景として「中間取りまとめ(案)」では、現在のモバイル通信市場は主要事業者が3グループに集約され、既存利用者の取り合いや囲い込みの競争ばかりが激しく、協調的寡占の色彩が強いという現状が挙げられています。 そんな中、SIMロック端末は通信サービス契約終了後の用途が著しく限られたり、海外渡航時に現地のSIMと差し替えて使えないため利用者の自由な選択を妨げ、利便性を損なっていると指摘。他キャリアへ乗り換える際に新端末を購入する必要が生じることから、スイッチングコストが押し上げられて競争を阻害する要因となる、新規顧客獲得時における多額のキャッシュバックの一因にもなっている、といった意見もあります。 また利用者に対して、端末の割賦代金支払額に相当する月額通信料金の割引や多額のキャッシュバックが提供されていることが、携帯キャリア間の競争を歪めるとともに、キャッシュバックによる顧客獲得が困難なMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)の新規参入・成長を阻害する点で問題になるとの意見も出ていました。