総務省がSIMロック解除を義務化へ ── 各種割引制度はどうなる?
SIMフリーなら端末を買い換えずに携帯キャリア変更が可能
実は、総務省では2010年6月に「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定し、携帯キャリアによる主体的なSIMロック解除の実施を求めていました。しかし、取り組みの状況が限定的であることから、義務化に踏み切る方針を打ち出したのです。今回は、携帯キャリアがSIMロックの解除を拒否した場合、電気通信事業法に基づく業務改善命令を出せるような仕組みも検討するとのこと。これらはあくまでも中間取りまとめの段階ですが、具体策を詰めた上で2015年度にも実施される予定です。 SIMロック解除が義務化されると、一般ユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。まず、現在はキャリアを変えるために端末まで買い換える必要がありますが、SIMフリーなら端末を買い換えずにキャリア変更ができるようになります。現在のところ、各キャリアにおけるネットワーク品質やプランの価格にほとんど差が見られませんが、総務省の狙いのひとつであるMVNOを含めた純粋な市場競争が進めば価格が下がり、端末はそのままでキャリアだけ変えることにメリットが出てきそうです。また、旅行や出張などで海外へ行く際、SIMフリーであれば現地のSIMカードを挿すだけで使えるという特徴もあります。
各種割引制度がなくなる可能性など手放しでは喜べない事情も
ただし、SIMロック解除の義務化は手放しで喜べるわけではありません。たとえば、前述のような端末の割賦代金支払額に相当する月額通信料金の割引や、多額のキャッシュバックが提供されているのは、このSIMロックがあったからこそ。実際、SIMフリーが標準の海外諸国では当然ながらこうした割引制度がないため、ユーザーは端末代金の全額を一括もしくは分割払いで購入しています。場合によっては、最新機種を購入すると従来よりも全体の価格が高くなる、といった状況が出てくる可能性も否定できません。 今までさまざまなプランを打ち出してきた日本の携帯キャリアですから、おそらくSIMロック解除の義務化が実施された後も、ユーザーを囲い込むために何らかの策を講じてくるとは思います。しかし、それが実際どのような内容になるかは携帯キャリア次第。これを機にMVNOへ移行するのもひとつの手ですが、まずは携帯キャリア各社の動きに注目したいところです。