「結婚・出産への意欲は実は高い」知事に聞く少子化対策…「身だしなみに少し気を使うだけでも」
岡山県内に現在暮らすのは約180万人。しかし、全国の多くの自治体と同様、その数が今後先細りしていくのは各種推計からも明らかだ。県内は高齢化率が既に30%を超えており、人口の減少幅を少しでも緩やかにすることが最大の課題。伊原木隆太知事は、少子化に歯止めをかけるため、2025年度も県民の結婚支援に力を入れる、としている。(浜端成貴) 【図表】出生数と合計特殊出生率の推移
「今、少子化対策を一生懸命やらなければ、10年後、20年後の岡山が、本当に元気がなくなってしまう」
昨年12月の取材に対し、伊原木知事は危機感をあらわにした。
県内の23年の出生数は1万1575人で、人口1000人当たりでは中四国9県でトップの6・4人。12年比29%減は、9県のなかで下落率が最も低い。その一方、女性1人が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は過去最低の1・32で、中国5県で最も低かった。
これらの指標を背景に、伊原木知事は「中四国で一番うまくいっている、と言える余裕は全くない」と焦りを募らせる。21年の「出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、全国の結婚15~19年の夫婦が産む子どもの平均数とされる「完結出生児数」は、10年に初めて2人を下回った。21年に過去最低の1・90人となったが、出生数が約2・5倍あった1972年と比べると、その差は0・3人でしかない。
伊原木知事は「過去50年間、結婚したカップルの間に生まれる子どもの数は意外と減っていない」と指摘。そのうえで「本気で少子化対策に取り組むなら、結婚支援に踏み込まざるを得ない」と強調する。
県が2017年5月に開設した独自の結婚支援システム「おかやま縁むすびネット」では、今月7日までに累計307組のカップルが成立。24年度予算では、同窓会や婚活イベントの開催費用を補助する市町村に対し、経費の一部を支援する事業を追加した。伊原木知事は「何が当たるか、やってみないとわからない。さほどお金のかからない事については、とにかく何でもやりたい」と力を込める。