【全日本大学サッカー】新潟医療福祉大GK桃井玲躍動 明大撃破で夏の総理大臣杯に続き決勝進出
<全日本大学サッカー選手権:新潟医療福祉大0(4PK3)0明大>◇25日◇準決勝◇栃木県グリーンスタジアム 新潟医療福祉大(北信越1)が初優勝に王手をかけた。前回大会王者の明大(関東1)をPK戦で破り、準優勝した今夏の総理大臣杯に続き決勝に進出した。延長戦でも決着がつかず、スコアレスで突入したPK戦。GK桃井玲(4年)が相手のキッカー3、4人目のキックを連続で防ぎ、勝利を引き寄せた28日の決勝(栃木県グリーンスタジアム)は初の全国制覇をかけて、東洋大(関東3)と対戦する。 勝てる-。ベンチコートを頭まで被った桃井には自信があった。120分を戦い、両チーム無得点で突入したPK戦。先攻の明大の2人目のキックを防ぐことは出来なかったが、左に飛んで左手にボールを当てると「行ける」と確信を得た。その後の3、4人目のキックをいずれも右に飛んでセーブし、激闘に終止符を打った。 「相手は準々決勝もPK戦。データは頭にあった。『絶対にヒーローになってやろう』と思っていた。良かった」 準優勝した9月の総理大臣杯の準決勝、筑波大戦でもスコアレスで突入したPK戦で2本のセーブと、1本のキックミスを誘発して勝利の立役者になっている。幼いころからPK戦は得意だった。「試合中の相手の動き、癖、プレースタイルをよく観察して参考にする」。相手がキックする直前までゴールライン上を左右にステップしたり、片腕ずつ上げ下げしてリズムをつくる。自分の間合いに相手を完全に引きずり込み好セーブにつなげた。 この日は累積警告で出場停止だったDF秋元琉星(4年、ザスパ群馬内定)に代わって主将マークを巻いた。相手は前回王者で、しかも今年の関東大学リーグ1部を22戦無敗で制した強豪だったがひるむことはなかった。「絶対に秋(元)を決勝に連れて行こうと。みんな(試合の)入りから集中していた。僕も守りやすかった。いい守備が出来た」。無失点での決勝進出に手応えを得た。 チームのインカレ決勝進出は2大会ぶり。当時2年生で大会ベストGKに選ばれたが、桐蔭横浜大との決勝では2-2の後半追加タイムに決勝点を献上。今夏の総理大臣杯決勝でも1-1の最終盤、阪南大に決勝点を奪われ、涙をのんだ。もう、同じ失敗は繰り返さない。「やっと借りを返せる舞台が整った。優勝を目指して頑張るだけ」。必ず初の日本一をつかみ取る。【小林忠】 ○…累積警告で出場停止だった主将の秋元は額に「るいせき」と書いて応援席から仲間を鼓舞した。「PK戦になった瞬間(GK)桃井がいるから絶対に勝てると思った。みんなたくましく、安心できた」と話したが、試合後は大粒の涙を流して喜んだ。東洋大との決勝に向け「俺のポジションがもうないんじゃないか、と思うぐらい全員のパフォーマンスが素晴らしかった。決勝に出場できるように練習でアピールする」と気合を入れた。 ○…佐熊裕和監督(61)は激戦を制し、「とても強い相手だったが、粘り強く戦ってくれた」と選手たちをたたえた。最終ラインは秋元主将を欠いたが「逆にそれが全員の集中力を引き上げた。夏の総理大臣杯で準優勝に終わった悔しさがチームに残っている。いい状態でここまで来ている。次、なんとか勝ちたい」と初優勝を見据えた。