JR西の新観光列車「はなあかり」完成までの舞台裏 車内のサービスは日本旅行のツアコンが担当
従って、はなあかりは北陸に特化した観光列車ではない。完成のタイミングから、最初の運用は北陸エリアが選ばれた。季節が変われば、ほかのエリアに投入される。 ほかの鉄道会社では古い車両を観光列車に改造したことにより、観光列車としての寿命が短く、すでに引退を余儀なくされた車両もある。今回、JR西日本はこの観光列車を長期にわたって運行したいと考えた。さらに非電化区間を含むエリア各地を走ることも考慮し、特急「はまかぜ」用に製造されたキハ189系を改造することにした。キハ189系は気動車であることに加え、2010年に製造された比較的新しい車両であるため寿命は長そうだ。
■1人当たりの面積をできるだけ広く 運賃・料金設定も「新幹線のグランクラスほど高くはないが、全席グリーンにしてゆったりと優雅にくつろいでいただきたい」という方針も決まった。川西氏の起用も早い段階から決まった。「川西氏はJR西日本の事情をよく理解しているし、JR西日本の地域共生の考え方も理解している」とJR西日本マーケティング本部鉄道マーケティング部の緒方伊久磨氏が話す。 デザインを決めるにあたり、「客室は少なくとも新幹線のグリーン以上のグレードにしないとお客様は満足しない」と川西氏は考えた。「在来線の車両は新幹線よりも小さいので、1人当たりの占有面積が新幹線と同じでも狭く感じる。新幹線のグランクラスに乗ってきた人もいる。敦賀で乗り換えたら“あれ、さっきより狭い?”となってしまう」。
目指すはグランクラスに見劣りしない客室の実現。そこで、1人当たりの占有面積をできるだけ広くすることにした。はなあかりの1両当たりの定員は単純計算で18人。通常ならこのタイプの車両には50~60席が配置されるので、確かにゆったりとした配置であることがわかる。いすにもこだわった。グリーン車のいすはいろいろな向きで座れるように360度回転し、座面を従来のいすよりも低くしてゆったりと座れる。スーペリアグリーン車はオール個室でいすは本革製だ。