立憲民主党代表に野田元首相 最大のミッションは「野党連携」
立憲民主党は9月23日、臨時党大会で代表選の投開票を行い、野田佳彦元首相を新代表に選出した。立民は24日に新執行部人事を決定。幹事長に小川淳也前政調会長を起用するなど刷新感を重視した。次期衆院選に向け有権者に政権担当能力を示し、野党間の連携を構築できるかが焦点となる。 今回の立憲民主党の代表選は泉健太前代表の任期満了に伴うもので、野田佳彦元首相、枝野幸男元代表、泉氏、吉田晴美衆院議員が立候補した。 1回目の投票で過半数を獲得した候補者がおらず、1位の野田氏と2位の枝野氏による決選投票に持ち込まれた。国会議員と国政選挙の公認候補予定者、各都道府県連の代表者の投票に基づくポイント制で実施され、232ポイントを獲得した野田氏が180ポイントの枝野氏を制した。 野田氏は選出後のあいさつで「本気で政権を取りに行く覚悟だ。衆議院の解散・総選挙は間違いなく早い段階で実施される。みんなの力を合わせて打倒自民党に向かっていきたい」と意気込みを語った。 ●新執行部は「刷新感」重視 野田氏は24日にさっそく新執行部人事を固めた。幹事長に小川淳也前政調会長、政調会長に重徳和彦衆院議員、国会対策委員長に笠浩史国対委員長代理を起用した。党内の中堅議員らの登用で「刷新感」をアピールする布陣となった。早期の衆院解散・総選挙が想定される中、挙党態勢の構築や政権公約の策定、衆院選に向けた体制づくりを急ぐ考えだ。 野田氏は旧民主党政権で財務相を経て2011年に首相に就任した。12年に消費増税を含む社会保障と税の一体改革を主導したが、増税に反発した小沢一郎氏らが大量に離党。この年12月の衆院選で大敗し、政権を失った。立民内では野田氏をいまだに「戦犯」扱いする声が少なくない。 今回の代表選にその野田氏や枝野氏が出馬したのは、「政治とカネ」問題で自民党への逆風が強まり、「久々に政権交代のチャンスが訪れた」(立民のベテラン議員)ことが背景にある。 立民内では、首相に就く可能性がある以上、新代表には安定感や要職を歴任した経験が求められるとの認識が広がった。立民の「創設者」である枝野氏も名乗りを上げたが、枝野氏は代表時代の21年、天皇制や日米安全保障条約の立場が異なる共産党と「限定的な閣外からの協力」で合意して衆院選に臨んだものの「立憲共産党」との批判を浴び、議席を減らして代表を辞任した経緯がある。 枝野氏は当時を振り返り「ものすごく反省している」と語るが、共産に近いイメージはなかなか払拭できていないのが実情だ。さらに、7月の東京都知事選で立民と共産が支援した蓮舫氏が石丸伸二氏に続く3位に終わり、立民内では「穏健な保守層や無党派層を取りにいかない限り政権交代など夢のまた夢だ」(ベテラン秘書)との見方が強まっていた。 代表選を通じて政権獲得には「穏健な保守層」への支持拡大が不可欠だと訴えた野田氏への支持が広がった背景には、これまでの路線では展望が開けないという立民内の危機感がある。 ●野党間の接着点に さらに、衆院選前後の野党連携や再編もにらみ、「国民民主党や日本維新の会などとの接着点になってほしい」と、立民やほかの野党議員から野田氏への期待が集まったことも大きかった。 次期衆院選に向け、カギになるのが小選挙区における野党連携だ。民主党の流れをくむ国民民主との関係は好転の兆しがあるものの、維新は立民との選挙協力には一貫して否定的だった。