不動産取引における仲介手数料は、本当に高いのか? 手数料の値引きがリスクになる理由を解説!
不動産取引における仲介手数料は高いのか?
ここまで不動産取引における仲介手数料について紹介してきましたが、改めて冒頭に紹介したXの投稿に戻ってみましょう。仲介手数料は本当に高いものなのでしょうか。 少し目線が変わりますが、私自身、不動産会社を経営する上で、常に意識しているのは「経営コスト」です。1件の売却の契約(仲介手数料)を獲得するまでのコストをシミュレーションしてみます。 不動産会社は売主や買主と出会うために、不動産ポータルサイトをはじめとした媒体に広告を出稿します。実際に当社の数字で見れば、1件の商談を獲得するために約15万円ほどの広告費がかかり、そこから成約確率が20~30%であるため、50万~75万円ほどの集客コストがかかります。 さらに、その反響に対応する営業担当者の雇用には、最低でも月に約45万円ほどの経費がかかります。そこから企業運営するための利益の確保などのコストを考慮すると、5,000万円の物件で156万円の仲介手数料というのは、決して法外な金額ではありません。 とはいっても、こういった事情はあくまでも不動産会社の都合です。消費者にとってはこれらのコスト構造が見えにくく、理解してくれというのも無理のある話です(不動産広告の表記を、仲介手数料を含めた総額表示を導入するなど、より透明性の高い価格提示方法に変更すべきだとは思います)。 不動産会社・良い担当者(エージェント)との関係は、一度で終わるものではなく、住み替えやローン変更、転勤時の管理や相続発生など、さまざまな局面で長期的・継続的なサポートが必要になります。仲介手数料は、そういった長期的なサービス提供の基盤となるものと考えてみてはいかがでしょうか。 むしろ、そういった長いお付き合いがしたいと感じる担当者や不動産会社であるかを念頭に置いて、売買を依頼する不動産会社を探してみることも重要なポイントであるといえます。
高田一洋