静岡学園・川口修監督がブレずに貫く指導哲学「結果だけを追い求めると魅力のあるチームにはならない」
「世界で通用する選手を育てたい」「静学から世界へ」
川口:実際にそれは凄く大きなことで、やっぱり結果が出ると、ああいう舞台でできますし、気持ちもいいですし、評価もされるというふうに思いがちなんですけど、ただ、自分が気をつけているのは、やっぱり結果だけを追い求めると、個性的な選手は絶対に出てこないし、魅力のあるチームにはならないと。 もしあの舞台に立ちたいという想いだけでやるんだったら、僕だってロングスローをやりますし、もっと時間を掛けてセットプレーをやりますよ。もっと守備を強化します。でも、それをやって自分たちの魅力を消してしまったら意味がないわけで、自分たちの魅力はより攻撃的に、ボールを支配していくことで、そのために何をするかと言ったら、ボールを失った瞬間にすぐ奪い返してマイボールにすれば、また攻撃ができると。発想としてはただそれだけなんです。あとはどんどん個性を出していけばいいんだと。 指導者が勝ちたいと思った瞬間に、戦術が変わるんですよ。僕はもうそれは絶対にやりません。勝つだけのサッカーではなくて、選手たちがより自分の個性を出せるスタイルを追い求めてやっていくと。その中でもう攻撃も守備も一体なので、攻撃的なサッカーをするためには、守備の強度も必要だよと。それをやり続けることで魅力ある選手が育つんだと。 だから、自分の指導の哲学としては、チームが勝つというよりは、世界で戦える選手を育てることなんです。日本一になった時も言ったと思うんですけど、「世界で通用する選手を育てたい」と。「静学から世界へ」と。それは優勝してみたからこそ感じることで、確かに優勝することは素晴らしいことなんですけど、そこがゴールじゃないんです。選手たちが次のステージへ羽ばたいていって、さらに輝く選手になってもらいたいんです。 選手権で勝つことが主たる目的になっていては、まだまだ日本のサッカーは世界のサッカーに追いつかないと思うんですよね。今の自分はやっぱり日本代表になって世界で戦える選手を育てたいですし、ヨーロッパに出て行って、UEFAチャンピオンズリーグの決勝に出られる選手を育成すると、そういう発想でやっています。そこだけは絶対にブレないでやっているつもりです。