「となりのトトロ」のアニソン歌手・井上あずみ、脳出血から約1年3カ月ぶりに仕事復帰。歌声も披露し「帰ってきました! 私は元気」
アニメ映画「となりのトトロ」の主題歌などで知られ、昨年8月に脳出血で倒れた歌手、井上あずみ(59)が16日、川崎市内で行われたアニメソングの歌謡祭で総合司会を務め歌声も披露、仕事復帰した。 左半身まひが残るため車いすに座ったままだったが、大勢の観客を前に冒頭で「帰ってきました! 元気にやっています」と宣言。昨年8月26日、自身の40周年記念公演の当日リハーサル中に倒れ、緊急手術を受けてから約1年3カ月ぶりの復帰となった。今年2月に退院後は、夫で所属事務所社長(54)と長女の歌手、今尾侑夕(ゆうゆ、20)の手厚い介護を受けてきた。 この日、総合司会を務めたのは、アニソン歌手の仲間が集結し洗足学園・前田ホールで行われた「アニソン文化祭2024 みんな集まれ!わたしは元気♪」。アシスタントは侑夕が務め、井上も終盤、侑夕と一緒に笑顔で「となりのトトロ」の主題歌を披露した。倒れた当初はろれつが回らなかったというが、かつての澄み切った歌声の一端をのぞかせた。 公演前には侑夕と会見、「やると決めたら、できるもんですねえ。たくさんの人に応援していただき、ここまで来た」と感謝。「天空の城ラピュタ」の最終場面の挿入歌「君をのせて」でも知られるが、「あの歌をいずれは立って歌いたい」と語り、侑夕も「鬼娘と言われながら、私も(復帰に向け)プレッシャーをかけ続けたからね」とユーモアをまじえて振り返った。 今年2月7日に退院後、現在もリハビリを続ける。トイレに行くときや入浴の支え、食事や掃除は夫と侑夕に頼り、プールでのウオーキングのほか、はり・きゅう治療を受けてきた。さらに、音楽系の大学に通う侑夕によるボイストレーニングに加え、家族の負担を減らそうと週2回は高齢者デイサービスへ。大きな声で高齢者たちと一緒に昭和の歌を歌っているという。 そうした本人の努力と周囲の介護、協力があってこその仕事復帰。「私の姿を見て、病気の皆さんにも元気になってほしい」という言葉にも実感がこもった。この日の歌謡祭は今年創立100周年を迎えた洗足学園の協力で開催。アニソン歌手たちと洗足学園音大の学生もコラボした。ラストは♪あるこう あるこう わたしはげんき…と井上が歌った「となりのトトロ」のオープニングテーマ曲「さんぽ」を全員で合唱。井上の復帰を盛大に祝う形ともなった。 井上は石川県出身で、1983年にアイドル歌手としてデビュー。86年、「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」の歌唱を任され、一躍注目を集めた。「魔女の宅急便」でもボーカルアルバムに参加。多数のスタジオジブリ作品の印象的なシーンを歌で盛り上げてきた。
2012年2月には当時7歳だった侑夕が、NHKみんなのうた「6さいのばらーど」を歌い歌手デビュー。以来、親子でファミリー向けのコンサートに出演してきた。「来年は40周年プラス1年の公演をやりたい。海外公演もいくつか予定されています」と明かした井上。最後は改めて「皆さん、ありがとうございました!」と笑顔で感謝、いつの日かまた自力で立って歌う姿を多くのファンも待っている。