中嶋朋子「自分の声音の限界」に気づいてからの挑戦と坂東玉三郎が広げた世界
ドラマから舞台へと活躍の場を広げた中嶋朋子さん。朗読劇にも力を入れ、音楽とのコラボレーションにも熱心です。その理由は、「自分の声音の限界」に気づいたからでした。 【画像】「面影ありますね!」映画『四月怪談』撮影時の16歳の中嶋さん など(全17枚)
■「16歳で初舞台」小さな声の蛍役から一変した舞台の世界 ── 1981年から21年間『北の国から』の蛍役を演じた中嶋さん。蛍以外の役や舞台に挑戦されたときのことを教えてください。 中嶋さん:16歳のときに、坂東玉三郎さん演出の『ロミオとジュリエット』のジュリエットを演じました。
『北の国から』の黒板家は小さい声でしゃべる家族だったので(笑)、舞台では声量が出なくて大変でした。玉三郎さんは、声が出ない私に対して、声を出そうとするよりも心を開放してそこに声がのっかれればいいと思われたそうです。 声が出なくて委縮していた私に、玉三郎さんが「ごめんなさいね、私が指導を間違っていました、まずは楽しく歌を歌いましょう」と言ってくださり、それだけで声が出るようになりました。 ── 玉三郎さん、すばらしい考えですね。その後、さまざまなドラマ、映画、舞台と幅広く活躍されていますが、やはり舞台は違いますか?舞台で大切にされていることはありますか?
中嶋さん:舞台は総合芸術であり、みんなで作っているものなので、自分の中で解決しようとせず、困ったら誰かに寄り添ってもらい、自分も寄り添う姿勢が大切です。 また、ドラマのようにカット割で切ってもらえないですから、舞台は空間すべてを使って存在するのを意識しないといけないのが一番の醍醐味かもしれません。自分自身の肉体の全体性、集団としての全体性というところも考えますね。 私の場合、映画は自分のうちに入って高めたものを空気に解き放つというか…自分の中で凝縮して、みんなとすりあわせるような感覚です。映像は方法論が異なりますし、時代によっても変わります。
■「音楽があれば」伝えたいことがもっと伝わる ── さまざまな舞台作品に出演されていますが、音楽とのコラボレーションにも熱心です。 中嶋さん:もともと朗読劇もやっていたのですが、音楽畑の方々と朗読歌劇をやってみると、ものの作り方がまた全然違ったんです。 音楽的に言葉を使い、リズムや空間を共有するのが私には合っています。文学的に内容をつめて役を演じるのも好きなのですが、私が発したものが、風にのって流れるようにお客さんに届くのがいいなぁ、なんて。