プログラミングは誰もが当事者。保護者が知っておくべき最低限のことって?
現状のプログラミング教育に足りないもの
プログラミング教育は、小学校・中学校・高校で行われています。また、学校以外でもプログラミング教室や教材が多数。さまざまな工夫がされてはいますが、まだまだ不十分な点もあるのが現状です。 たとえば、学校のプログラミング教育は学校ごとの取り組みに差異が大きいことが挙げられます。小学校から地球と月と太陽の回転周期を「Scratch(スクラッチ。教育プログラミング言語)」で組んでいる学校もあれば、タイピングもままならない子どもが多いという学校もあります。プログラミングは、月に1回程度の授業という学校も多く、パソコンへの慣れや興味で個人差も大きくなっているようです。 一方、学校以外でのプログラミング教育では、楽しさを追求するあまりプログラミングの入り口部分だけで終わってしまっているものも。興味を持たせるために楽しさは欠かせませんが、やることや想定されるミスとその対応さえもあらかじめ準備されていては、ゼロから思考と失敗を重ねて粘り強く取り組むという「本当の意味でのプログラミング体験」をするのは難しいでしょう。
プログラミング教育で大事なのは「失敗と最新技術に触れること」
では、これからのプログラミング教育には何が求められるのでしょうか。私は、「複雑ではなく、簡単でシンプルに組み立てる設計力」「ゼロから作品を作り上げ、失敗やうまくいかない点から学ぶ体験」「最新の技術・テクノロジーに触れる体験」の3つであると考えます。 【1:複雑ではなく、簡単でシンプルに組み立てる設計力】 プログラミングというと、複雑な設計をしなければいけないと思われがちですが、実は全く逆です。なるべく簡単に、シンプルに組み立てることが求められます。 その理由は、シンプルであるほうがミスが起きにくく動作も軽くなること、また他の人から見ても意図が読み取りやすく、再現性を高めることができるためです。 たとえば、同じ動きが3回続く場合には、同じ指示を3回並べるのではなく、「3回繰り返す」と設計したほうがシンプル。複雑な機能を、簡単な機能の組み合わせに落とし込むということは、本質がわかっていないとできないものです。この複雑なことも本質を見極め、シンプルに分解し、考え、解決を目指す力は、プログラミングのみならず、勉強や社会で出合うあらゆる課題の解決に役立つ力となるでしょう。