『SHOGUN』前夜の物語。マンガ『センゴク』で知る戦国時代のド迫力のリアル
戦乱の世を制した者
信長没後の「後継者戦争」を制し、日本の統一を成し遂げたのが仙石権兵衛の上司、木下藤吉郎。後の豊臣秀吉であり、ドラマでは「太閤」として登場する人物だ。 信長は独創的な発想を持つ天才だった。秀吉もまたその信長の構想を理解し、発展させるだけの天才性を持っていた。 では徳川家康=吉井虎永はどのような人物か。『センゴク』では、若き家康は危険な勝負にもあえて身を投じる、「賭博師」として登場する。やがて秀吉を野戦で破るほどの実力者となるが、しかし秀吉の才能を自分より上と評価し、徹底的に学ぶ姿勢を見せた。 信長や秀吉のような独創性はない。しかし学ぶ能力は持っていて、なによりも時間をかけて機会をうかがう忍耐心を持っていた。『センゴク』が描いたように、最後の勝者となり、「将軍」の座につく人物は、こうした資質の持ち主なのかもしれない。 ちなみに秀吉はカトリックの宣教師を追放し、家康もそれを継承する。マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙』で描かれたキリスト教徒の弾圧は、その政策の結果だった。 ドラマ『SHOGUN』はすでにシーズン2、3の製作が発表されている。日本はヨーロッパでいうとドイツと同じくらいの大きさで、中国であればひとつの省くらいの国土だが、その歴史を知ることでドラマもまたより深く楽しめるかも。
【Profile】
堀田 純司 HOTTA Junji 作家、マンガ原作者。上智大学文学部卒。主な著作は『僕とツンデレとハイデガー ヴェルシオンアドレサンス』、シナリオを担当した『まんがでわかる妻のトリセツ』(ともに講談社)など。集英社「よみタイ」にて『まんがでわかる「もっと幸せに働こう」』を連載中。編集者としても『生協の白石さん』(講談社)などのヒット作を企画、編集している。最新作(漫画原作)は『東大教授が教える 日本史の大事なことだけ36の漫画でわかる本』(講談社)。日本漫画家協会員。