新型肺炎広がる中国でのボクシング東京五輪予選中止。次から次へとふりかかる難題に連盟トップは「不安がある」
ボクシングの東京五輪の出場権をかけたアジア・オセアニア予選が2月に中国・武漢で開催される予定だったが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大しているため、参加者の健康や安全を考慮して中止となった。22日、主催者が発表したもの。 一両日中にも、新しい開催地と日程が決定する予定で、現在、フィリピンが立候補しているが、同地にも新型肺炎の疑いのある感染者が見つかったとの情報があり、スンナリと決まるかも未定。日本開催となる可能性もゼロではないという。 日本からは、このアジア・オセアニア予選には、男子6階級、女子5階級の合計11人が出場予定で、1月4日からカザフスタンで約2週間の強化合宿を終えたばかり。22日からは都内のナショナルトレーニングセンターで直前合宿に入っていた。当初、中国へ30日に出発予定だったが、予選中止を受けてスケジュールは白紙に戻された。 ただ日本ボクシング連盟の内田貞信会長によると、「選手は、むしろ現地で新型肺炎にかかる危険がなくなったことを安心していました。予選中止にショックはありません」という。 「ただ、合宿も減量を含めて、この試合にタイミングを合わせて進めていますし、今後、どうなるかが、現時点で見えないのは不安です。影響は出てくるでしょう。連盟としては、できるだけのフォローをしていきたいと考えています」と続けた。 東京五輪のボクシング競技は、統括団体の国際ボクシング協会(AIBA)のガバナンスや運営が問題視され存続さえ危ぶまれたが、IOCが競技運営することで存続が決まった。だが、バタバタ状態で、先日、開催国枠に関しての解釈の違いが表面化した。
五輪開催枠の定義も直前に変更
当初、日本には開催国枠として、男子4枠、女子2枠が保証され、アジア・オセアニア予選で上位4位から6位以内に入って出場権を獲得すれば、その男子4枠、女子2枠に出場枠がプラスされていくものと解釈し、選手、関係者にも、そう通達していた。 しかし、先日、明らかになった定義は、まったく違うもの。あくまでも男子4枠、女子2枠は、日本が五輪予選で出場権を獲れなかった場合の最低保証で、予選で出場枠を獲得しても、そこにプラスされていくものではなかった。例えば、男子が2枠を予選で自力獲得すれば、「4枠プラス2枠」の6枠になるのではなく、その自力獲得の2枠が4枠から引かれ、残り2枠が与えられることになる。 つまり日本は男子は8階級中、6階級、女子は5階級すべてでアジア・オセアニア予選に出場するが、男子で5、6階級、女子で3、4、5階級で出場権を獲得して初めて「男子4枠、女子2枠」の最低保証から出場枠が増えるということになるのだ。 「当初、開催国枠についての説明が文書化されておらず、私たちは、これまでの五輪の例に沿ったものになると考えていました。それが先日のIOCの会議で、急に開催国枠の新しい解釈について明らかにされ私たちも戸惑っています。全階級で出場権を獲りにいくプランでいましたから。ただ選手たちは、自力で出場権を獲得するんだと、強い意志を持ってくれています。それだけに一日も早く、いつ、どこで行われるかの見通しを明らかにしてもらいたいのです」と内田会長。 次から次へと難題やアクシデントに襲われているが、来月からは他地域での五輪予選もスタート、世界最終予選は5月にフランスで開催されるため、アジア・オセアニア予選は2月中に終えなければ、五輪へ向けての青写真が崩れることになる。 男子では、3階級制覇王者で現WBO世界フライ級王者、田中恒成(畑中)の実兄であるフライ級の田中亮明(中京学院大学附属中京高教員)や、習志野高校時代に6冠を獲得し、ジュニア五輪で金メダルを獲得しているフェザー級の堤駿斗(東洋大学)など、複数階級に東京五輪でのメダル候補がいて、日本勢が五輪初出場となる女子でも、天才キックボクサー、那須川天心の幼馴染で、空手時代に対戦経験があり国際大会でメダルを獲得しているフライ級の並木月海(自衛隊)や、フェザー級の入江聖奈(日体大)らがメダルの有力候補。 男女共に複数階級でアジア・オセアニア予選にて出場権を自力獲得することへの期待が寄せられている。