中国の核弾頭600発超に 新型ICBMなど脅威強調 米国防総省報告書
【ワシントン=坂本一之】米国防総省は18日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表した。中国が保有する運用可能な核弾頭数が600発を超えたとの推計を示し、昨年の報告書から100発引き上げた。報告書は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を明記するなど、米国への脅威が高まっていることを強調した。 報告書では、中国の核弾頭数について、2022年に400発超、23年に500発超と推計していたが、24年半ば時点で600発超に拡大したとした。30年までに1千発超に達するとの見通しを維持しつつ、「少なくとも35年まで増強を続けるだろう」と明記した。 習近平政権は35年までに軍の近代化を図る目標を掲げている。 中国軍は核弾頭を搭載可能な「ミサイル戦力を大幅に向上させる新型のICBMを開発している」と指摘。通常弾頭で大陸間の攻撃を可能にするミサイルシステムを導入する可能性に触れ、「配備されればハワイやアラスカ、米本土に通常攻撃による威嚇を可能にする」と警鐘を鳴らした。また、中国軍が演習や訓練で「米軍の艦艇やグアムの滑走路などの模擬標的」を使っているとした。 習政権が統一を掲げる台湾に関し、周辺での大規模な軍事演習など「外交的、政治的、軍事的な圧力を強化」したと説明。台湾有事で米国の介入を阻止できない場合は「短期間の限定的な戦争で介入を遅延させ、打破する」と予想した。 また、中国共産党が中国軍の統制を進めていることを強調。23年に起きた軍内部の汚職調査や幹部交代が軍近代化を遅らせた可能性を指摘した。