AI国家戦略刷新で世界ハブ目指すシンガポール、1,120億円規模の投資計画、「Better」から「Must」へ
グーグル、シンガポールで生成AIに特化したアクセラレータープログラムを開始
シンガポールでは、新しいAI国家戦略に基づく取り組みがすでに多方面で展開されている。 シンガポール地元紙Business Timesは2024年1月29日、同国の政府機関の1つであるEnterpriseSGとグーグルが国内生成AIスタートアップの育成に向けたアクセラレータープログラムを開始すると報じた。今後3年にわたり計100社の生成AIスタートアップの育成を進めるという。 対象となるのは、シード~シリーズBの段階にあるスタートアップ。プログラム参加企業には、グーグルクラウドのAIテクノロジーへのアクセスが与えられ、事前トレーニングされた大規模言語モデルなどを利用できるようになる。プログラムでのテクニカルサポートやメンターシップは、グーグルのプロダクト開発チームが担当する。プログラム期間は3カ月。 まず2024年4月に最初20社がプログラムを開始する予定で、プログラム終了時には35万ドル相当のクラウド利用クレジットが付与される。このクレジットにより、スタートアップはビジネスをスケールすることが可能となる。また参加企業の中でも特に優秀なスタートアップは、EnterpriseSGからの資金サポートを受けることができるという。POC(プルーフ・オブ・コンセプト)の段階にある企業には25万ドル、POV(プルーフ・オブ・バリュー)の段階にある企業には最大50万ドルが付与される。 直近となる2021年の公式データによると、シンガポール国内には800社以上のAIスタートアップがあり、2018年から毎年18%で増加しているという。 グーグルとシンガポール政府によるプログラムはこれにとどまらない。2023年7月に第1回目が実施された官民組織を対象としたAI開発プログラム「AI Trailblazers」の第2回目が予定されている。1回目には84の組織が参加し、グーグルのAI開発プラットフォームを活用してさまざまな生成AIアプリケーションが開発された。第2回目のプログラムでは150以上の組織の参加が予定されている。またグーグルはシンガポールのテック人材育成プログラムにも参加しており、最大で3,000人に奨学金を提供する計画だ。