「危険運転」で裁けず刑が軽い「過失運転」になる理不尽 時速194キロ暴走、飲酒、逆走でも
危険運転の「基準」検討
埼玉県川口市では24年9月、飲酒運転のうえ一方通行を無視して逆走した車が猛スピードで乗用車と衝突し、男性を死亡させる事故があった。運転していたのは、当時18歳の中国籍の男。映像を見る限り、かなり高速で走行している様子が分かる。100キロ超とも言われている。 さいたま地検は男を、過失運転致死罪などで家庭裁判所に送った。飲酒、逆走、常軌を逸する走行速度......これでも、なぜ危険運転致死の罪には問えないのか。 10月18日付の朝日新聞デジタルによると、さいたま地検の判断はこうだ。「危険運転致死罪には、一定の条件に該当する自動車のみに規制対象を限定した道路には適用しないという規定がある。今回の現場の一方通行規制は、二輪車が除外されていて、この規定に当てはまる」。 23年に栃木県宇都宮市で起きた事故も、先述の大分市のケースと似た動きとなっている。時速160キロ超のスピードで運転していた車がバイクに追突し、バイクに乗っていた男性を死亡させた。 運転していた男は過失運転致死の罪で起訴されたが、事故で亡くなった男性の遺族が起訴内容変更を検察に求め、署名活動を実施。その結果、宇都宮地検が危険運転致死罪への訴因変更請求を行ったのだ。 このように、危険運転致死の罪に問うには、適用へのハードルの高さがしばしば問題視されてきた。法務省では24年2月から有識者による検討会を開催。11月13日には、とりまとめ案が示された。飲酒運転や速度超過については数値基準を設ける意見が出された。今後、最終の報告書がまとめられ、法務省に提出される。