【疑問】年金と給与、両方から「住民税」が天引き…これは二重課税じゃないんですか?【FPが解説】
【疑問】年金からも給与からも「住民税」が天引きされるのはどうして?
前年中の年金所得が一定額以上になると、住民税が課税されます。 年金受給者のケースでは、地方税法第321条の7の2にもとづいて基本的に年金から天引き(特別徴収)されます。 一方、給与所得に対して住民税が課税される方は、給与からの特別徴収が発生します。 これは私たち現役世代も同様。給与からの天引きについては、地方税法第321条の3第1項により定められます。 そして給与を得ながら年金の支給を受ける人の「住民税」は、端的にいうと、給与も年金も両方から天引きされます。 留意点として、公的年金に係る住民税を「給与からの特別徴収」にはできません。その逆も同様です。 住民税を含めて、4つのお金が公的年金から天引きされます。 そのため「額面の金額」と「実際に受け取れる金額(手取り金額)」に違いが生じることを知っておきましょう。 次の章からは、実際に厚生年金と国民年金から天引きされる4つのお金について詳しく見ていきます。
【額面に注意】厚生年金と国民年金から天引きされる4つのお金とは
年金から天引きされる税金・社会保険料は下記4つです。 ・個人住民税 ・所得税および復興特別所得税 ・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料 ・介護保険料 ●個人住民税 前述のとおり、個人住民税が一定額以上になると年金から天引きされます。 個人住民税の場合は、65歳以上で公的年金の支給額が年間18万円以上の人を対象に天引きされます。 ●所得税および復興特別所得税 年金所得が一定額以上になる場合、「所得税」および「復興特別所得税」が天引きされます。 所得税と復興特別所得税は、額面から社会保険料や各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率をかけた額です。 ●国民健康保険料・後期高齢者医療保険料 年間の年金支給額が18万円以上の人は、健康保険料も年金から天引きされます。 なお、65歳以上75歳未満の国民健康保険加入者は「国民健康保険料」が天引きされますが、75歳以上の人は「後期高齢者医療制度」という健康保険に切り替わって天引きされます。 ●介護保険料 40歳から64歳までは健康保険料に含まれて支払う介護保険料。65歳以降からは単独で支払うことになります。 年金の支給額が18万円以上の人は、年金から天引きとなるので注意が必要です。介護保険料は一生涯支払いがあるため、介護認定されていても支払い義務があります。 税金や保険料が天引きされるには一定の要件があるため、全員が天引きになるわけではありません。また、固定資産税や自動車税などは年金天引きの対象外となります。 それでは、天引き前の「額面」でみた場合、公的年金(厚生年金・国民年金)の受給額はいくらくらいなのでしょうか。 次の章から、実際の受給額について深堀りしていきます。