「報復しないで」保護者説明会で不信浮き彫り 栃木・園児の虐待事件
栃木市都賀町の私立認定こども園「都賀幼稚園」で17日夕、2月に起きた園児への虐待事件についての保護者説明会があった。大塚英人園長が虐待について改めて謝罪し、再発防止策などを説明したが、保護者からは「(園長は)二度と子どもに手を上げたり、いじわるしたりしないとこの場で明言して」「ここでの発言者に報復しないでほしい」などの発言が相次ぎ、園側への不信の根深さが浮き彫りになった。 【図解】子どもの話をまとめてはダメ 虐待を見逃さないために 説明会には、在園児と卒園児の保護者約50人が出席した。冒頭、虐待した男性職員が謝罪した後、大塚園長が概要と発覚後の経過を報告。再発防止策として、教職員や経営側の研修の実施、第三者評価の導入、各教室やホールへのカメラ設置などを説明した。処分については、加害職員を減給(4月分、10分の1)とした他、引責として園長が12月分給与の全額、妻の副園長が同じく半額を自主返納するとした。 質疑応答では、事件に関連して「ありもしない憶測」などと発言したことについて、園長が「本件ではなく(市議会で指摘された別の)三つの事案について話した」と釈明。また、「改善に終わりはないが、今回の件を受けた(園内イベントなどの)自粛などは終了したい」と述べ、事件への対応に区切りをつけたい考えを示した。 一方、保護者からは「子どもに手を上げる、陰に連れて行く、いじわるをするなどの行為が本当になかったのか胸に手を当てて考えてほしい。今後は一切手を出さないとこの場で明言して」と涙ながらの訴えもあった。 終了後の取材に対し、大塚園長は市に複数寄せられている今回以外の不適切保育の情報や相談について「げんこつとか水筒でたたくなど一切していない」と否定した。 園によると、加害職員は2月5日、園内で、跳び箱の練習中、男性職員が注意を聞かなかった園児を蹴り、鼻血を出させた。市は子ども・子育て支援法に基づき指導監査に入り、虐待防止方針や教職員の行動規範の策定を指示するなど改善を指導している。【太田穣】