広域店舗網を生かした成長を追求 中澤宏・ほくほくフィナンシャルグループ社長
── ほくほくフィナンシャルグループ(FG)として2004年9月1日に北陸銀行(富山市)と北海道銀行(札幌市)が経営統合し、今年9月で20周年を迎えます。 中澤 経営統合した当時はバブル崩壊後の経済混乱期にあり、経営を安定させて経営基盤を強化することが目的でした。距離的に近い地銀どうしの経営統合が進んだ中で、ほくほくFGは「唯一の隔地統合」とよくいわれますが、それほど意外感があったわけではありません。 北陸はもともと江戸時代から日本海を行き来する北前船を通じて北海道との関係が深く、北海道開拓のために北陸から移住する人も非常に多かったのです。そのため、北陸銀行の前身銀行が北海道に初めて小樽支店(小樽市)を開設したのも明治32(1899)年と、かなり早くから進出していたという経緯もあります。 ── 経営の一体感醸成にはどう取り組んできたのですか。 中澤 両行の職員が一緒になった研修のほか支店長会議や連携会議などでの交流をことあるごとにやってきましたが、二つのブランドでそれぞれの地域での優位性を生かしつつ、経営戦略や成長性の面から本部機能やガバナンスの強化は、FGとしてより一本化していく方向にかじを切っています。 その取り組みの一つとして、今年7月からFG100%出資の子会社として設立した「ほくほくコンサルティング」が営業を開始しました。取引先企業のM&A(合併・買収)や事業承継などのコンサルティングに両行の専門部隊が一緒になって取り組み、これまでよりも掘り下げた提案をしたいと考えています。 ── 今年1月1日に能登半島地震が発生しました。被災地域の現状をどう捉えていますか。 中澤 なかなか復興が進まないという危機感を覚えています。地理的な制約や人手不足などが重なり、廃業や人口流出も起きている状態です。厳しい現実を突きつけられていますが、一刻も早く復興を果たせるよう、国や自治体、そして我々を含めた経済界や民間企業が連携しながら、着実に取り組んでいくしかありません。