収入差がない共働き夫婦の場合「子どもはどちらの健康保険の扶養」にすべき?扶養のルールや付加給付
夫婦共働きの場合、子どもの扶養について、あまり考えずに夫側に入れている夫婦が多いのではないでしょうか。 【一覧表】扶養する子どもが16歳以上なら、所得が多い方の扶養に入れるほうが税負担を軽減できる(税法上の扶養) しかし、妻の方に入れた方がお得になるケースもあります。 年度の切り替えで働き方が変わる夫婦もいるでしょう。 ここでは、健康保険の扶養を中心に、制度の解説と選ぶポイントをお伝えします。 扶養の入り方によって、医療費が節約できたり、手取りが増えたりすることがあるので、夫婦共働きのご家庭はこの機会に検討してみるといいでしょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
健康保険の扶養のルール
子どもたちは、経済的に自立するまでは親の扶養に入ります。 扶養とは、家族や親族に対して、経済的な援助をすることです。 扶養には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。 それぞれ別の制度であるため、扶養に入るための要件などが異なります。 ここでは、健康保険に関係する「社会保険上の扶養」を中心にみていきます。 共働きで夫婦共に健康保険の被保険者である場合、子どもをどちらの健康保険の被扶養者にするのがいいのか悩むケースがあると思います。 しかし、これには判断基準があり、原則、「収入が多い方の健康保険の扶養に入ること」となっています。 ただ、夫婦でそれほど収入に差がない場合や、年ごとに変わってくる場合などは判断に迷うでしょう。 そこで、厚生労働省が2021年8月1日から判定基準の新ルールを設けました。 ポイントは次の2つです。 ・夫婦の年間収入の差が、多い方の1割以内の場合は、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする ・年間収入とは、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだ額とする たとえば、夫年収480万円、妻年収500万円であれば、差額の20万円は妻の収入の1割(50万円)よりも小さいので、届出を提出することで、子どもは夫の健康保険の被扶養者とすることができます。 これは夫を主として生計を維持する者と判断した場合です。 しかし、夫年収440万円、妻年収500万円になると、差額の60万円は妻の収入の1割よりも大きくなるので、子どもは妻の健康保険の被扶養者となります。 これは逆も然りです。 健康保険の扶養は収入が多い方が扶養するのが原則ですが、コロコロ変わっては子どもが無保険状態になる危険があるので、具体的かつ明確な基準を設けたということです。 このルールは、子ども(被扶養者)の地位の安定を図るためのものであり、主として生計を維持する者をどちらにするかは夫婦の選択によるので、収入が1割差以内の夫婦であれば、子どもをどちらの扶養入れるのかは夫婦で選択できることになります。 収入の考え方は、2021年7月までは「前年分の年間収入」でしたが、前年の収入が今後も継続するとは限りません。 そのため、過去、現在、将来の収入から今後1年間の収入の見込額を算出して判断することになりました。 長期的な視点で考えて、どちらが扶養するかを選択しましょう。 注意点としては、子どもが2人以上いる場合に、1人は夫の扶養、1人は妻の扶養などと分けることはできません。 扶養者となった側が子ども全員を扶養することになります。 ちなみに、「税制上の扶養」の場合は、子どもごとに選択することができます。