勉強を三日坊主で終わらせないためにはどうすればいい? 大人の脳の使い方【50代からの脳トレ②】
脳の基礎体力を上げるには「音読」がいい
脳番地と脳のネットワーク両方でファイアリングを起こすのに最適だと加藤先生が提案するのが、音読。しかもただの音読ではなく、助詞を強調して読む助詞強調音読だ。 加藤先生が提唱する「助詞強調音読」は、文字通り文章の「てにをは」を強調して読む方法。例えば「私はコーヒーが好きだ」という文章なら、「は」「が」を強く読む。 「日本語は助詞を強く言うと美しく聞こえないため、一般的に助詞は強調しません。 でも実際に日本語の意味をディレクションしているのは助詞。私は、私も、私と…助詞で文章の意味はまったく異なるのです。 試しに、手近にある文章を助詞を強調しながら声に出して読んでみてください。 すると自分の声がいつもよりはっきり聞こえ、単語の区切りがわかり、文章が音として記憶され、内容がよく理解できるのではないでしょうか」 助詞を強調しながら読むことで、8つの脳番地と、脳番地間の連携の両方にファイアリングを起こすことができるそう。 ●目で文字を追う → 視覚系脳番地 ●口を動かして声に出す → 運動系脳番地 ●自分で自分の声を聴く → 聴覚系脳番地 ●文章の意味をつかむ → 理解系脳番地 ●文章の内容について考える → 思考系脳番地 ●文章を味わい共感する → 感情系脳番地 ●「人に伝える」ことを意識する → 伝達系脳番地 ●読んだ文章を脳に刻む → 記憶系脳番地 「助詞強調音読で読むのは、長い文章である必要はありません。1日1文、ワンフレーズでもいいのです。 ほかには、好きな歌の歌詞、詩、映画のセリフなど文字として書かれてあるものなら何でもOKです。朝音読して、昼間にそれを思い出し、さらに翌日も思い出して言ってみるようにしましょう。 この3ステップで脳番地とネットワークにファイアリングを起こし、脳の土台を整えたら、ポテンシャルの高い脳へと変化させることも可能。三日坊主ともさよならできることでしょう」
【教えてくれたのは】 加藤俊徳さん 脳内科医・医学博士・小児科専門医。加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授。株式会社「脳の学校」代表。脳科学、MRI脳画像診断の専門家として、胎児から90歳以上の超高齢者まで1万人以上の脳を加藤式脳画像診断法で脳の使い方や脳相を診断。脳の成長や個性に合わせた学習指導や適職相談など、薬だけに頼らない脳が成長する治療を提供。著書に『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1日1文読むだけで記憶力が上がる!おとなの音読』(きずな出版)など多数。 イラスト/藤田マサトシ 取材・原文/遊佐信子