自然や歴史の豊かさ次代へ 町誌刊行報告会で執筆者が討論 沖永良部島和泊町
鹿児島県和泊町の町誌「和泊町の歩み」刊行報告会「エラブ研究の現在地」(町、町教育委員会主催)は1日、同町の和泊中学校あかね文化ホールであった。「自然」「歴史」「町制施行後の和泊町」の3部会執筆者計13人が部会ごとに討論。町の自然や歴史の豊かさを強調するとともに、町誌刊行をきっかけとした次世代へ伝える機会の創出や地域に埋もれた伝説、遺跡の調査研究の重要性などを提言した。 自然部会は4人が報告。新納忠人さん(知名町文化財保護審議委員)は島の植物の特徴を解説し、今後の課題として外来種対策の必要性を強調。希少種の保全、保護に向けては希少種の価値を伝える資料の作成や子どもたちへの観察会開催を提案した。 歴史部会は4人が登壇。司会役からの質問に3人が答える形で進めた。各集落に伝わる中世の豪族伝説を執筆した先田光演さん(和泊町の歩み執筆編集員)は「世之主以前の伝説としてもっと語られていい。伝説のありようを調べていくことで、島の発展、地域の生活などが見えてくる」と魅力を語った。 町制施行後の和泊町部会は5人が登壇。大福勇さん(沖永良部花き専門農業協同組合指導監)は社会情勢の変化とともに変わっていった島の農業を振り返り、「町の農業がどうあるべきか、先人たちが築いてきた知恵を見直し、次の100年を目指して取り組んでいく一助になれば」と力を込めた。 会場には後蘭孫八城跡現況測量図や昔の島民の暮らしが分かる写真など町誌に関係する資料展示もあった。 「和泊町の歩み」は町制施行80周年を記念して今年5月に刊行された。