自動車産業のSDV化をさらに支援--PTCジャパン・神谷社長
2025年に向けたIT企業のトップメッセージや年頭所感を紹介する。 PTCジャパン 社長 執行役員 神谷知信氏 2024年は、年初に日経平均株価が市場最高値を更新し、半導体を筆頭に需要が堅調な製造業での設備投資にも大幅な伸びがみられました。経済産業省が企業のデジタル化を唱える「2025年の崖」を前に、日本市場への焦燥感を覚えることもありましたが、確実に製造企業がDXに取り組み始めたことも実感しています。 人手不足など、多くの課題を抱えている製造業全般は、設計開発データを管理する製品ライフサイクル管理(PLM)をより広範な利用形態へと発展させており、PTCもそのようなお客さまの支援に力を尽くしました。設計工程のデータ管理だけでなく、グローバルアクセスと共有、品質向上につながる管理システム、サプライチェーンの統合、データのアフターサービス利用など、PLMを製品ライフサイクルやモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)の中心に位置づけ、DXを勢い良く進める企業が複数みられました。またPLM領域で遅れていたSaaS化への動きも加速していきました。 自動車産業においては100年に一度の大変革期を迎えており、電気自動車(EV)やソフトウェアデファインドビークル(SDV)の厳しい競争下にあります。PTCは、もはや必須であるSDVの開発進化を、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)ソリューションである「Codebeamer」で支援しており、特に欧州では大変多くの自動車メーカーから高い支持と評価を得ております。PTCジャパンでは、国内のお客さま対応の受け皿として、新たに自動車専任部隊を創設し、自動車産業のSDV化をさらに支援していく予定です。 また、2024年は、パートナー各社とのさらなる連携、協業を強化し、新たにダイワボウ情報システムとの販売代理店契約を締結しました。特に中小企業の製造業においては、紙、図面作業が根強く残っており、両社の協業により都市部だけでなく、地方に拠点を置くあらゆる規模のお客さまに向けて、3D CADを中心としたデジタル化に向けた業務改革を促進していきます。 そして、私がPTCジャパンの社員を率いて早1年が経ちました。PTCのビジネス環境の変化や成長の早さ、顧客に提供する製品価値など、直面するもの全てが面白いと感じる一年でした。グローバルな観点で他国と比較しても、日本の事業は大幅な伸びを示しており、それに伴い米国本社からの日本への投資意欲も勢いを増しています。その一方で、欧米の国々のDXの成熟度は高く、日本以上に積極的な企業イノベーションへの姿勢が見て取れました。日本は、国際競争に打ち勝つ上で、得意としている高品質な「日本のものづくり」を維持しつつ、最新のデジタルテクノロジーを駆使し、製品リードタイムの短縮化は欠かせないでしょう。 2025年も、社員一丸となって、お客さまのニーズに耳を傾け、日本の製造業が次のステージへと突き進めるよう全力で支援していく所存です。