健康診断は「毎年同じ時期・同じ病院で受ける方がいい」のウソ・ホント 受ける時の注意点も教えて
毎年健康診断を受けている人も多いと思いますが、じつは「同じ時期に受けた方がいい」「同じ病院で受けた方がいい」そうです。そこでその理由や健康診断を受ける時の注意点について、青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニックの金沢先生に話を聞ききました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
健康診断を受けるのは、同じ時期、同じ病院がいい?
編集部: 個人で健康診断を受ける場合は、毎年同じ時期がいいのですか? 金沢先生: 企業などで行う健康診断を受ける場合は、毎年時期が決まっているので、必然的に同じ時期になると思います。しかし、個人で健康診断を受ける場合は、自分次第になってしまいます。やはり、答えとしては、できれば毎年同じ時期に受けるようにした方が良いでしょう。 編集部: なぜ、毎年同じ時期に受ける方が良いのですか? 金沢先生: 同じ時期に受けることで、受け忘れるのを防ぎ、習慣化しやすいというメリットがあります。また、1年のサイクルを通して体調の崩れや変化に気づきやすいというメリットもあります。 編集部: 健康診断を受ける病院も同じ方が良いのですか? 金沢先生: できれば、同じ病院で受けた方が良いでしょう。なぜなら、健康診断で行う項目は医療機関によっても異なるからです。そのため、同じ病院で受けた方が、去年と今年の成績を比較しやすく、異変に気づきやすくなるのです。 編集部: 健康診断は時期と場所を同じくした方がいいのですね。 金沢先生: はい。医師側の視点としても、前回の結果と比較できることでより良い指導をしやすいという利点があります。また、病院ごとに外注の検査会社が異なるので、違う医療機関で検査を受けると、単純に結果を比較しにくいというデメリットもあります。
会社の健康診断だけ受けていれば大丈夫?
編集部: 会社で健康診断を受けていれば、個人で健康診断や人間ドックを受けなくても良いでしょうか? 金沢先生: 職場健診の目的は、職場における労働者の安全と健康を守ることです。たとえば生活習慣病や肝臓疾患、腎臓疾患などは職場で行う健康診断でも見つかりやすく、実際多くの人が指摘されています。しかしながら、職場健診では見つかりにくい病気もあります。 編集部: どんな病気が見つかりにくいのですか? 金沢先生: 職場健診で見つけにくい疾患の筆頭が、がんです。職場健診では、場合によってはバリウム検査や便潜血検査、胸部X線検査などを行うこともありますが、初期のがんを見つけるには内視鏡検査など、もっと精密な検査を行う方が発見の可能性が高まります。 編集部: バリウム検査や便潜血検査だけでは、がんを見つけるには不十分なのですか? 金沢先生: どんな検査も確実に見過ごしがないとは言い切れません。その中で、特に便潜血検査は社会全体の大腸がんを拾い上げるという意味では威力を発揮する検査です。しかし現実に、進行がんで10%、早期がんで50%の見逃しがあることがわかっています。 編集部: それでは職場健診を受けている人は、どのような検査を追加すれば良いのですか? 金沢先生: もっとも受けてほしいのは、がん検診です。自治体でもがん検診を行っており、たとえば胃がん検診なら50歳以上を対象に胃内視鏡検査を2年に1回受けることができます。大腸については、40歳を超えたら一度、大腸カメラを受けることを強くお勧めします。 編集部: 人間ドックとして複数の検査項目をパッケージ化している医療機関もあります。職場検診に加え、それを受けるのはどうでしょうか? 金沢先生: 人間ドックといっても、医療機関によって内容が異なります。内視鏡検査などのがん検診が含まれているものもありますし、職場の健康診断と内容がほとんど変わらないものもありますから、人間ドックを追加で受ける場合には、検査項目を確認するようにしましょう。