創業地・小豆島を「ごまの島」へ 国内トップシェア「かどや製油」の166年目の恩返し
国産オリーブオイルの一大製造拠点として知られる小豆島(香川県)は、ごま油の国内トップシェア「かどや製油」(本社・東京都品川区)の発祥の地でもある。主力工場が小豆島で稼働しており、同社は地元の土庄町などと連携し、「ごま」をキーワードに地域の活性化を目指すプロジェクトを立ち上げた。同社が育った小豆島への恩返しの思いも込められており、井尻尚宏・同社常務は「島の方々と協力して、食の小豆島ブランドを確立していきたい」と意気込んでいる。 ■主力は純正ごま油 風光明媚(めいび)な小豆島は、漫画・アニメ・ドラマ・映画で展開されている「からかい上手の高木さん」の舞台・聖地としても脚光を浴びている。この島で加登屋製油所が安政5(1858)年に創業し、166年の年月を重ねた。 主力の金印純正ごま油をはじめ濃口や特定保健用食品、太白といったごま油、いりごま、すりごまなどの商品があるが、原料は主に東南アジアや中南米、アフリカから輸入している。ごま油の年間生産量は昨年度実績ベースで約2万3000トンとなっている。 小豆島工場は面積5万平方メートル、従業員約200人。選別、焙煎、圧搾、濾過(ろか)の後、タンクで2週間静置、仕上げ濾過、充塡(じゅうてん)という製造工程で、5班体制、1日4交代制で24時間2週間連続稼働する。 ■休耕田でごま栽培開始 今年5月に設立されたのは、「ごまのみらい小豆島プロジェクト」。「ごま」をキーワードに種々の地域課題解決を探る地域創生プロジェクトだ。キックオフセレモニーとして、関係者によるごまの種まきが伊喜末(いぎすえ)地区の休耕田の畑で行われた。 栽培は伊喜末地区で農業振興に取り組む生産者グループ「小豆島 陽当(ひあたり)の里 伊喜末」に委託する。本年度の栽培面積は1013平方メートルで、来年度は3倍程度に増やすという。 主な活動予定は、小学生によるごまの生育観察や工場見学、住民や子供たちによるごまの収穫など。7月に開花、9月に刈り取り、11月に地元小中学生への食育「ごまんぞく給食」への提供というスケジュールだ。初年度はごま油を製造するほどの収穫量は難しい見込みで、同社のごま専門カフェ&ダイニング「goma to」(東京・自由が丘)でのメニュー提供や、島内の飲食店での展開などを検討している。 ■国産金ごま油を視野に