「宿泊税」がオーバーツーリズムを加速させる……日本人が知らない「不都合な真実」
ハワイの宿泊税は10%以上
世界でも観光戦略でトップを走るハワイの宿泊税は10.25%の「定率制」である。オアフ島のホテルであれば、更に3%の宿泊税が加算される。定率制であれば、インフレが起こっても、その時々で自動的に妥当な宿泊税を徴収することができる。 しかし、定額制であれば、インフレに対応ができない。実際に、東京都の宿泊税は20年以上、据え置かれたままである。「アマン東京」や「帝国ホテル」に泊まるセレブが1泊200円とは驚きを禁じ得ない。一度議会で決められた金額を変更するには、改めて議会にかける必要があるし、システム変更に対して、特別徴収義務者となる宿泊事業者からの反発も予想される。当初は、わかりやすさや簡素さ、合意のしやすさを求めて定額にするが、これでは問題を先送りにしているだけにも映る。 実際に、多くの自治体で導入されている「入湯税」は半世紀近くも150円のまま……という場所が多い。長期的、戦略的な視点に立てば、宿泊税は、インフレにも対応できる定率が良いというのが筆者の意見である。 次回記事『ハワイで「日焼け止めの使用」が法律で禁止されている「意外過ぎるワケ」』へ続く。
田中 俊徳(九州大学アジア・オセアニア研究教育機構 准教授)