人手の約9倍に高速化…日ノ出工機が実用化、「エゴマ種の自動選別装置」の効果
日ノ出工機(福島県郡山市、渡辺拓美社長)は、エゴマの種子の自動選別装置を実用化した。福島県農業総合センターが開発した選別方式を基に、同社独自の構造を加えた。エゴマの選別作業を人手の約9倍に高速化できる。福島県は全国有数のエゴマ産地でもあり、人手不足や高齢化に悩むエゴマ農家の生産性向上が期待できる。 製品名は「福箕(ふくみ)」。福島県農業総合センターのほか、郡山市産業創出課、福島県発明協会、郡山地域テクノポリス推進機構と連携し商品化を進めた。既に県内外で納入・受注実績があり、一部ではナタネ種子の選別にも使われている。価格は200万―230万円程度(消費税抜き)。 これまでは収穫した直径1ミリメートル程度の種子を人手でゴミなどとより分け、4人がかりで1時間当たり1キログラムの選別にとどまっていた。福箕は農業総合センターによる転選式選別という方式を採用し、同9キログラムの種子を約90%の精度で選別できる。 投入口に大量の種子を入れておくと、そこから少しずつコンベヤーに種子が供給されるが、装置下部に組み込まれたベルトコンベヤーは傾斜をつけてあり、丸いエゴマはコンベヤーの下に転がり落ちてしまう。一方、ゴミなどはコンベヤーに載ったままで排出する仕組み。処理速度はダイヤル操作で調節できる。 これらに独自の工夫として回転ドラムに樹脂製のブラシを付け、種子の薄い皮が傷ついて中のエゴマ油が出ないようにして特許を取得した。福島県内の4カ所に納入し、うち1台はナタネ選別用。岐阜県高山市と大分県臼杵市のエゴマ生産者からも受注済み。