眼鏡の「Zoff」が上場、競合上位3社で投資対象として魅力的なのはどの企業?
上位3社で投資対象として魅力的なのは?
では、眼鏡企業上位3社を比べた場合、投資対象としていちばん魅力的なのはどの企業か考えてみましょう。足元の業績を比較してみます。 インターメスティック(Zoff)の24年12月期の予想は、売上高43489(百万円)、前年比+9.1%増、営業利益4206(百万円)、前年比+20.3%です。予想値での営業利益率は、9.67%。 一方、ジンズHDの25年8月期予想は、売上高90100(百万円)、前年比+8.6%増、営業利益8500(百万円)、前年比+8.5%です。予想値での営業利益率は、9.43%。前年比での成長率を比べると、インターメスティックのほうが魅力的に見えます。 ちなみに株価の割安性をはかるPERは、ジンズが25.7倍、インターメスティックは22倍(どちらも10月22日現在)で、インターメスティックのほうが割安感はあります。ただ、インターメスティックは、上場して間もないので、株価の方向性は見えません。 ジンズHDは、2021年後半から、長く続いていた下降トレンドが下げ止まり、2024年の4月から上昇トレンドに転換したように見えます。テクニカルだけで見れば、かなり魅力的なチャートです。 じつはジンズHDは、10月11日に24年8月期の本決算発表を行い、その翌営業日15日には、ストップ高となりました。着地した24年8月期の営業利益が7836(百万円)で、当初の予想6300(百万円)に対して24.4%も上振れて着地したこと、配当金を45円から61円に修正したことが好感されたようです。 国内事業では、快適でストレスフリーなかけ心地とデザイン性を兼ね備えた“おうち時間に着替えるメガネ”「JINS HOME」等が好評を博したことや夏季にかけて、紫外線や光によって色が変わる可視光調光レンズ等のオプションレンズやサングラスといった季節性商品への需要が増え、単価が上昇したことにより、売上高は前年比で14.5%増収しています。海外売上は、アジア地域はイマイチですが、アメリカでの既存店売り上げが好調で、前年比9.3%増収となっています。 さて、残りの1社、Japan Eyewear Holdingsですが、こちらは、ほかの2社と毛色が違います。眼鏡の産地、福井県鯖江市を拠点とした「金子眼鏡」と「フォーナインズ」を展開。職人が作る質の高い眼鏡は、1本10万円程度と高額ですが、とくに訪日客からの人気が高く業績を伸ばしています。 足元進行中の25年1月期の売上高は16000(百万円)、前年比+18.2%、営業利益4600(百万円)、前年比+24.3%で、2023年11月の上場以来、連続増収増益となっています。以前、こちらの連載でお伝えしたことありますが、わたしは、金子眼鏡のサングラスを愛用しており、その品質のよさは体感済み。次もまた買うなら金子眼鏡で、と思っています。 金子眼鏡を買う前は、JINSのサングラスを愛用していましたが、一度、高級なものを使うと、その後、ランクダウンするのはなかなか抵抗があります。わたしのようにJINSやzoffを卒業して、金子眼鏡へと移る人も一定数いそうです。 このように、眼鏡業界は、低価格帯店舗と、高価格帯店舗にぱっきり2分化されています。いずれも好調でありますが、勢いづいているのは低価格帯グループです。いっときの円安が落ち着き、やや円高に触れていることでインバウンド需要の加熱が落ち着いています。また、国内でのインフレ疲れにより節約志向が台頭していることで、高価格帯チームの勢いはやや鈍化しております。 上場して以来、Japan Eyewear Holdingsは、右肩上がりを続けていましたが、9月に入ってからは、一方通行で下落しています。やはり投資家は、成長の鈍化を懸念しているのでしょう。ちなみにJapan Eyewear Holdingsの現在のPERは23.9倍ですから、ほか2社とはそれほど大きく変わりません。 以上のことより、消費者としてはJapan Eyewear Holdings推しですが、投資対象として見た場合は、いったんピークをつけた感じがするので、下落が止まり、反転して上昇トレンドに転換するまで待ちの姿勢で。 上場ほやほやのインターメスティックは、しばらくはボラティリティ(価格の変動幅)が高いと予想されるので、半年から1年間、業績の推移を見合わせながら継続ウォッチします。現状、いちばん投資対象として魅力的なのは、株価が堅調に動いているJINSです。新年度が始まったばかりですが、第一四半期決算で、スタートダッシュのよさが確認できれば、さらに株価は一段上を目指すようなシナリオを描いています。
藤川 里絵(個人投資家/CFP)