パワー9%&トルク14%アップ!2.2LターボのFR車・いすゞ「D-MAX」は新エンジン搭載で275万円から!! 日本導入を期待したいピックアップ
微笑みの国、タイの首都バンコクで、2024年11月28日~12月10日の期間で、国際モーターショー「第41回モーターエキスポ2024」が開催された。タイは、日系ブランドが大きなシェアを持つ日本車大国でもある。そこで出会った日本では出会えない日本車を紹介したい。今回は日本では乗用車から撤退して久しいいすゞのピックアップトラックを紹介しよう。 REPORT:大音安弘(OHTO Yasuhiro) PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro)/ISUZU 日本では、本田翼さんをCMキャラクターに起用した普通免許対応の小型トラック「エルフミオ」が話題となっているいすゞだが、タイでは、1トンピックアップトラック「D-MAX」とPPV(Pick-up Passenger Vehicle)のSUV「MU-X」を投入しているため、多くの人にとっても身近な日本の自動車メーカーなのだ。 【画像】新エンジンを搭載したいすゞD-MAX。。 全性能を向上させた新エンジン「2.2Ddi MAXFORCE」+新開発の8速AT いすゞのブースの目玉は、ショー開幕目前に発表されたD-MAX及びMU-X向けの新パワートレインだ。 これまでRZ4E型1.9L直列4気筒ディーゼルターボエンジン「1.9Ddi BLUEPROWER」と、パワフルな4JJ3型3.0L直列4気筒ディーゼルターボ「3.0Ddi MAXFORCE」の2種類が搭載されていたが、その1.9Lエンジンの後継となるものだ。但し、D-MAXの一部グレードでは1.9Lエンジンが継続採用されるが、MU-Xの1.9Lエンジンは、全て新しい2.2Lエンジンに換装された。余談だが、エルフミオのエンジンには、1.9LのRZ4E型である。 新開発の「RZ4F」型2.2L直4ディーゼルターボエンジン「2.2Ddi MAXFORCE」は、環境性能、出力性能、燃費性能をバランスよく向上させたのが特徴。開発では220万キロの走行総統のテストを行ったという。その性能は、1.9Lエンジンよりも出力とトルク共に向上しており、最高出力163ps/3600rpm、最大トルク400Nm/1600~2400rpmを発揮。始動時には、最大トルクの56%を紡ぎだし、燃費性能も1.9Lエンジンと比べ、最大10%も向上させたとする。 さらに環境性能では、CO2排出量はクラスでもっと低いという。エンジン技術では、最大250Mpaの超高圧燃料噴射装置、電子制御可変ターボチャージャー、低フリクションピストンなどの採用などのトピックがある。 トランスミッションもエンジンに合わせて仕様変更を受けており、ギア比を見直した6速MTに加え、従来型比で2速を追加した新開発の8速AT「8SPEED REV TRONIC」を採用している。駆動方式は2.2Lエンジン車だとFRのみとなり、3.0Lエンジン車ではFRと4WDの選択が可能だ。 新エンジン+8速ATで現地価格は300万円弱から モーターエキスポの会場のD-MAXは、ダブルキャブを中心に展示。新エンジン展示車では「CAB4」と「HI-LANDER」を展示。2タイプ共にFRとなるが、最大の違いは最低地上高にある。CAB4の16インチホイール装着車が200mmなのに対して、HI-LANDERの18インチホイール装着車では240mmを確保。240mmという数値は4WD仕様と同等のため、未舗装路など道の悪いところも走りやすい。またヒップポイントも上がるため、乗降しやすいようにサイドステップも付属する。 エンジン違いによる価格はどうなのだろうか。ダブルキャブのHi-Landerの最上位グレード「M」ATで比較してみると、2.2L車が113万7000バーツ(約526万8000円)で、3.0L車が116万4000バーツ(約539万4000円)となる。価格差は2万7000バーツ(約12万5000円)なので、新エンジンと8速ATの組み合わせで12万5000円安なのはお買い得なように思える。 また効率や環境負荷低減の狙いから、廉価仕様でも8速ATを搭載している。最も安い新エンジン車は、シングルキャブ仕様の「スパーク」だ。6速MTでは「B」グレードとなり、59万5000バーツ(約275万7000円)。8速AT車だと「スパーク」でも一つ上のグレードからとなり「S AT」グレードで67万2000バーツ(約311万4000円)となる。(1バーツ:4.63円換算) 現行型D-MAXは、2019年10月にフルモデルチェンジし、23年10月には大幅改良のマイナーチェンジも実施済み。今回は主力エンジンのアップグレードに取り組むことで、タイというライバルが多い地で戦い抜くべく、その商品力を磨き続けている。
大音安弘