写真家・川内倫子が原田郁子と谷川俊太郎の共作曲「いまここ」を映像化した作品『HERE AND NOW』を公開
クラムボンのヴォーカル&キーボード・原田郁子が詩人の谷川俊太郎と共作した楽曲「いまここ」の映像作品『HERE AND NOW』(監督: 川内倫子)が、原田の公式YouTubeチャンネルにて公開されています。 原田郁子と谷川俊太郎の出会いは2005年。日本科学未来館にて上映されたプラネタリウム『暗やみの色』に、谷川は「闇は光の母」という詩を書き下ろし、原田はその朗読を担当しました。2021年、『暗やみの色』のサウンドトラックを手がけたrei harakamiの没後10年に際して、日本科学未来館で開催された「暗やみの色」のリバイバル上映及びトーク・イベント「『暗やみの色』から生まれることば」にてふたりは再会。その日がきっかけとなり、原田が谷川に「一緒に歌をつくりませんか」と手紙を出したところ、返事として「いまここ」という一編の詩が届いたとのこと。そこから原田が楽曲を制作しはじめ、2年の歳月をかけて楽曲「いまここ」が完成しました。 rei harakamiの『暗やみの色』サウンドトラック収録の「intro」をサンプリングし、谷川俊太郎の朗読、ブレス音、心音をフィーチャーして完成した楽曲「いまここ」は、2023年6月にリリースされた原田郁子の15年ぶりのソロ・アルバム『いま』に収録されました。リリース時、原田と谷川はタワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE」意見広告シリーズに一緒に登場。その際の音楽に対する谷川の言葉が話題を集め、撮影した写真家・平間至の写真展「写真のうた-PHOTO SONGS-」にも展示されました。 話は前後しますが、アルバム『いま』制作中の2022年、原田郁子は写真家・川内倫子の写真展「M/E 球体の上 無限の連なり」を観て、「いまここ」の詩の世界と通ずるものを感じ、本の制作を川内に提案します。川内もそれを快諾し、装丁にサイトヲヒデユキを迎えて、写真絵本『いまここ』(torch press)が出版されました。そして写真絵本を携えて、川内は写真展「HERE AND NOW」を開催。映像作品の制作や、川内と原田のトークセッション、朗読、ライヴなど、〈いまここツアー〉と題して全国各地を巡ってきました。 川内倫子が手掛けた映像作品『HERE AND NOW』は、これまで展示会場でのみ観ることができましたが、このたび原田の公式YouTubeチャンネルにて公開されました。 なお、原田郁子の公式YouTubeチャンネルでは、「いまここ -radio edit & poetry reading movie-」という映像も公開されており、そこでは谷川俊太郎の朗読シーンを観ることができます。 [コメント] 谷川さんから詩を受け取ったとき「すごい、もう歌だ、、」と思いました。リズムがあって、広がりがあって、音そのもの、だったから。 そこから「いまここ」をめぐる旅ははじまって、詩は、メロディになって、音楽になって、本になって、映像になって、ここからまた羽をのばして飛びたとうとしています。 旅立っていくこと、それでもいる、ということを、これほど瑞々しく、好奇心を持って描いていることに、圧倒されています。 「いるいる いま」 「わたしを だいて」 倫子さんの「HERE AND NOW」 ぜひご覧ください。 ――原田郁子 この音楽を聴きながら、1年くらいのあいだに撮り溜めていた映像を紡いでいく作業はとても豊かな時間でした。自分が見たさまざまな光景とともに繰り返し聴いていると、過ぎ去った時間がたしかにあったと感じられ、この世界に住むさまざまな人種、世代の人たちと輪になって手を繋いで空に昇っていくような感覚になったのでした。それは谷川さんの詩からはじまり、郁子さんが音を乗せて広がっていく世界の先に見えた景色でした。――川内倫子