道重さゆみさんが公表した「強迫性障害」とは? 症状・原因を医師が解説
強迫性障害の原因
編集部: 強迫性障害の原因について教えてください。 稲川先生: 強迫性障害の原因ははっきりとはわかっていませんが、性格や生育歴、感染症、ストレスなど、多くの要因が関与しているといわれています。 脳のはたらきの関与も考えられています。喜怒哀楽や不安、恐怖などの情動に関連する大脳皮質領域の活動の変化が関与しているといわれています。研究によって、脳内でセロトニンを神経細胞内に取り込むタンパク質が減少していることも解明されました。 また、強迫性障害は家族の間で遺伝し、遺伝子が関わっていることも研究によってわかっています。病気やストレスが、強迫性障害に関わる遺伝子を活性化させると考えられています。
強迫性障害の受診科目
編集部: 強迫性障害と思われる症状が現れたら何科を受診すればよいでしょうか? 稲川先生: 強迫性障害は精神科や心療内科が専門的に対応しています。戸締りしたかどうかの心配や火の元の始末をしたかの確認は、生活において誰もが経験することです。そのため、少し神経質なだけであるのか、行き過ぎた考えや行為であるかの判断は簡単ではありません。 日々の強い不安や、自分では確認せずにはいられない行為によって心身が疲労している場合、生活や仕事に支障をきたしている場合は受診しましょう。 自分の困りごとだけではなく、気づかないうちに周りの人を巻き込んでいることもあります。家族や友人など、自分の周りの人々が困っている場合も受診の対象です。 強迫性障害は、脳炎や脳腫瘍などの脳の病気でも認められます。統合失調症、うつ病、不安障害、心気症、強迫性人格障害、摂食障害、発達障害、アルコール・嗜好品・ギャンブル・買い物などの各種の依存症でも、強迫性障害と似たような症状が認められます。 適切な診断、治療を受けるためにも専門の医師の診察を受けることが大切です。
強迫性障害の性差・年齢差など
編集部: 強迫性障害に性別差や年齢差などはあるのでしょうか? 稲川先生: 強迫性障害は人口の約1~2%がかかえている不安障害です。人種、性別、年齢、生育環境に関係なく発症し、子どもも大人も発症する可能性はあります。 10歳~12歳の早期に症状がみられる場合と、10代後半~20代前半にかけて症状が確認される場合があり、患者の90%が15歳~25歳で発症しています。男性の方が女性よりも若い年齢で発症する傾向にあります。 200人に1人の児童、10代の若者が強迫性障害をかかえていると推定されています。