道重さゆみさんが公表した「強迫性障害」とは? 症状・原因を医師が解説
強迫性障害の症状
編集部: 強迫性障害ではどのような症状がみられますか? 稲川先生: 強迫性障害の症状には「強迫観念」と「強迫行為」があります。自分では望んでいないのに頭の中に思い起こされ、退けることができない考えが強迫観念です。 また、ひどく不安に感じ、自分では意味がないことだとわかっていても行わずにはいられない行為が強迫行為です。 不安やこだわりといった強迫観念と、行動せずにはいられない強迫行為は、一人で同時にかかえている場合が多い症状です。代表的な症状として、不潔恐怖・洗浄、加害恐怖、確認行為・儀式行為、数字へのこだわり、対称性へのこだわりなどがあります。
強迫観念の症状
編集部: 強迫観念はどのような症状が現れますか? 稲川先生: 強迫観念の症状は、不安やこだわりの程度が自分でも度を越しているとわかっていながら、頭から断ち切ることができない考えです。強迫観念では、次のような症状がみられます。 ・汚れや細菌汚染に対して恐怖を感じる ・他人と共有して触れるドアノブや手すりなどが不潔だと感じる ・運転中にミスを犯して人に怪我を負わせていないだろうか、傷害を起こしてないかという ・不安にかき立てられる ・戸締りをしただろうか、火の元は安全だろうかという心配に押しつぶされそうになる ・自分の決めた手順でものごとを行わないと恐ろしいことが起きるという不安が頭から離れない ・きちんと物の配置があっていないと不安に感じる ・左右対称にしないと不吉なことが起こるのではないかと不安になる ・正確にしなければならないと固執する ・4や9の数字を避ける、幸運な数字にこだわるなど、縁起を担ぐレベルを超える数字への強いこだわりがある
強迫行為の症状
編集部: 強迫行為はどのような症状が現れますか? 稲川先生: 強迫行為の症状は、強迫観念から生まれた不安やこだわりにかき立てられて、自分ではつまらないことだとわかっていても行わずにはいられない行為です。強迫行為の症状は一人で複数かかえていることも多く、経過中に症状が変わることも少なくありません。 強迫行為では以下のような症状がみられます。 ・何時間も手を洗う、何回も入浴する、何度も洗濯を繰り返す ・ドアノブや手すりなどの不潔だと感じるものは触ることができない ・手が荒れるほど消毒を繰り返す ・汚染の恐怖から入浴や着替え、掃除を避けるようになって不衛生になる ・自分がだれかを傷つけたかもしれないと不安になり、ニュースで取り上げられていないかをチェックしたり、警察やまわりの人に聞いたりする ・ドアの鍵やガスの元栓、電気製品のスイッチを何度も確認する、じっと見張り続けて指差し確認する、手でさわって確認するといった行為をやめられない ・どのような場面においても同じ方法で仕事や家事を行う ・順序の正確性にとらわれるあまり、物事が進まない ・何度も数える、心の中で呪文を唱えることをやめられない ・配置にこだわって物を置きなおしてしまう、物を対称に並べてしまう ・他人からみたらどうでもよい物がどうしても捨てられず、物がたまっていく