スパイバーが提供、宇多田ヒカルのツアー衣装を「エイポック エイブル」がデザイン
宇多田ヒカルが約6年ぶりに開催している全国ツアー「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024」の着用衣装3着のうち1着を、スパイバー(Spiber)が提供した。デザインは、デザイナー宮前義之が率いる「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」が手掛けた。スパイバーが開発した人工構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)繊維」を素材に採用した特別なコラボレーションとなっている。 【画像】制作時の様子
宇多田の全国ツアーはデビュー25周年を記念したもので、7月13日に福岡・マリンメッセ福岡で開幕。東京や愛知、埼玉、宮城といった日本各地のほか、初のアジア地域での海外単独公演として8月10日には台北で実施された。台北では11日にも公演が予定されており、8月17日と18日には香港でも開催される。最終公演は8月31日と9月1日に横浜で行われる。 宇多田のツアーでは基本的に衣装に関する情報は非開示としており、今回のように衣装協力が明かされるのは異例。スパイバーの新しいプロテイン繊維の可能性やサステナビリティに関するヴィジョンに宮前や宇多田自身が共感し、長年にわたり宇多田の衣装を担当するスタイリストの小川恭平による監修の元、コラボレーションが実現したという。エイポック エイブル イッセイ ミヤケおよびスパイバーがミュージシャンに衣装提供するのは初めて。撮り下ろした衣装着用写真は、宇多田のアルバムジャケット等のアートワークを手掛けることでも知られるフォトグラファーのTakayが撮影した。 エイポック エイブル イッセイ ミヤケによる衣装は、色鮮やかな色彩と、流れるような造形美が特徴。ブリュード・プロテイン繊維とポリエステルの混織を採用し、異素材の熱への反応による縮率の違いを活用して狙った形に変形させながら独自のストレッチ素材に仕立てるイッセイ ミヤケの製造技術「スチームストレッチ(Steam Stretch)」を用いて制作された。 宮前は今回の衣装について、「進化し続けながらも普遍的であり、唯一無二の存在である宇多田さんの表現を後押しできるような、そして音楽そのものや舞台芸術などを含めた総合芸術であるライブの中で、衣装がその一つとして調和しつつ存在感を出せるように工夫しました。ブリュード・プロテイン繊維を最適なバランスで取り入れることによって、独特の風合いや形を実現しています」とコメント。 実際に着用した宇多田は、7月30日の仙台公演のMCの中で「(ステージ上の)スクリーンで見るたびに『後ろはこうなっているんだ!』とか、毎回新しい発見があって。軽くて、すごく新しい素材なんだって。ブリュード・プロテインだったかな。すごく環境にいいんだって。一粒で3度くらい美味しいね。最高」と話し、衣装を紹介したという。宮前らによる衣装は今回のツアーの全公演で着用される予定だ。 ブリュード・プロテイン繊維は植物由来のバイオマス(有機性資源)が主な原料。フィラメント糸からカシミヤ、ウールのような紡績糸、アニマルフリーファー、べっ甲や水牛の角のような樹脂材料まで、あらゆる素材に加工することができるほか、石油に頼ることなく、またマイクロプラスチックを排出することがないため、サステナブルな繊維素材として注目を集めている。ゴールドウインやリトルリーグ、ユナイテッドアローズといった大手でも採用する企業が増えている。