「虎に翼」はて?で繋ぐ人の絆〝再会〟という希望【梅子さんのおにぎり】【団子】【さよーならまたいつか!】
そして、食いしん坊・筆者のコラムとしては食事シーンにも触れなければならない。女子部の仲間である大庭梅子(平岩紙)が作るおにぎり(添えられている梅干しも絶品らしい)は物語を通してずっと出てくる重要アイテムであるが、初登場シーンが好きだった。入学したばかりでお互いを知らない者同士が一緒にお昼を食べるシーン。ナレーション(尾野真千子)で寅子の心の声が入り、「何を喋ればいいか分からず…」とおにぎりの味や天気の話をし、その場を取り繕う様子は「あるある!」と視聴者を共感の渦に巻き込んだ。最初から梅子さんのおにぎりは、皆を繋ぐアイテムだったんだなあと改めて感嘆した。 また、寅子の上司で最高裁長官にまで上り詰める堅物な桂場等一郎(松山ケンイチ)は、実は甘党。「甘味処竹もと」の団子の味、跡継ぎ問題に関係するほど丁寧に描かれたのは本当に圧巻で愛を感じた。 このように寅子の生涯の中には多くの出会いがあり、その分別れもあった。女子部の仲間ともそれぞれの道に進み別れた時期もあったが、再会。死別という絶望も描かれたが、最終回では母のはるが登場し「どう? 地獄の道は」と寅子に投げかける。米津玄師の主題歌「さよーならまたいつか!」のタイトル通り、別れの寂しさだけじゃなく人生に〝再会〟という希望を持たせてくれ、毎日を頑張ろうと思わせ、エールをくれる物語だった。半年間、「ごちそう様でした」。