PS4『十三機兵防衛圏』発売5周年。綿密なSF設定やオマージュ、青春ジュブナイル要素が心を揺さぶる名作群像劇。多くのユーザー、業界人から絶賛された【今日は何の日?】
※本記事は、2023年11月28日にアップした記事を再編集したものです。 13人の少年少女の視点から真相を追う圧巻の物語 【記事の画像(7枚)を見る】 2019年(令和元年)11月28日は、プレイステーション4(PS4)用ソフト『十三機兵防衛圏』が発売された日。本日で発売から5周年を迎えた。 『十三機兵防衛圏』は、アトラスから発売されたシミュレーション・アドベンチャーゲーム。開発は『オーディンスフィア』や『朧村正』、『ドラゴンズクラウン』などで知られるヴァニラウェアが手掛けている。当初は2018年の発売予定だったが、いったん発売時期が未定になり、さらにプレイステーション Vitaでの発売が中止されるなど、開発が長期化していたため、ファンにとってはようやくの待ちに待った発売となった。 リリース直後の売れ行きはそれほどでもなかったが、口コミやネットでの評判を受けて売上が徐々に増加。年をまたいで2020年になると在庫が不足する自体に陥り、1月14日になってアトラスから品薄のお詫びと出荷について公式サイトで告知されるという、最近ではあまり見ないタイプの売れかただったように思える。 登場する13人の少年少女全員が主人公の群像劇になっていて、全員の物語を追っていくことで少しずつ“破滅の運命”の真相に迫っていく。ひとつひとつのエピソードは短いのだが、それぞれに発見や驚きが隠されていて毎回海外ドラマのようなクリフハンガー(気になる引きで続く)で終わることも多く、「先が気になってやめどきがわからない」といったユーザーも大勢いたことだろう。 謎が謎を呼び、断片的な物語が複雑に絡み合うため、若干難解な面がありつつも、すべてがつながったときのカタルシスはすさまじく、多くのプレイヤーがシナリオを絶賛。綿密なSF設定やオマージュ、青春ジュブナイルといった要素にも大きく心を揺さぶられたようだ。80年代という特別な空気感も見事に描かれており、当時に青春時代を送った人たちは、とくにその部分に惚れ込んでしまった人も少なくない様子。 また、淡い色彩で描かれた独特のビジュアルも本作ならではの味。2Dグラフィックと豊富なアニメーションで各エピソードを表現しているのは一見の価値ありだろう。朝の光や夕日の美しさは思わずため息が出てしまうほどで、キャラクターの表情の豊かさにも驚かされたんじゃないかな。 バトルはシミュレーションになっていて、襲い来る怪獣を撃破していくのがおもな目的。2Dで描かれるストーリーパートの追想編とは打って変わって、簡易的なポリゴンで表現されているのが風変わり。抽象的なグラフィックは、ロボットものアニメの司令室で見るようなレーダー画面のようでじつにユニーク。防衛の要である“機兵”は装備開発などによって強化することが可能で、出現する怪獣のタイプに応じてチーム編成をあれこれ試行錯誤するのもおもしろかった。 2022年4月14日には、Nintendo Switch版も発売。PS4版のダウンロード豪華版特典“デジタル・シークレットファイル”や先着購入特典“デジタル・アートワークス”を収録をしている。