米激戦州の有権者、AIを懸念-TikTok巡る地政学が選挙結果左右も
(ブルームバーグ): 米大統領選ごとに勝利する政党が変わりやすい激戦州、いわゆる「スイングステート」の有権者の多くは、人工知能(AI)の存在感が高まることで、いずれプライバシーが脅かされ、雇用見通しが悪くなることを懸念している。ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルタントの共同世論調査で分かった。
調査によると、激戦区の7州で回答者の半数余りが、AIがプライバシーに悪影響を及ぼすと考え、半数近くが将来的に雇用に悪影響を及ぼすと予測。一方、AIが健康に好影響を与えるとの回答は45%、教育に良い影響を与えるとの回答は41%だった。
この調査ではまた、有権者の半数が中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を米国で事実上禁止した新法を支持した。バイデン大統領の署名で先月成立した同法は、中国の親会社、字節跳動(バイトダンス)がTikTokの米事業を売却しなければ米国内での同アプリの使用を禁止する内容。
調査回答者の3分の2が、このアプリが外国の敵対勢力によって米国内のデータ収集や情報操作に利用されることを懸念していると答えた。
今回の世論調査は、AIの急速な台頭や一握りの大企業への力の集中、中国資本のTikTokに絡むセキュリティー上の懸念など、政治問題化しているハイテク関連の課題を有権者がどのように捉えているかを示している。アリゾナとジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州の登録有権者計4962人を対象に実施したこの調査の統計的誤差は全体で1ポイント。
世代間の違い
モーニング・コンサルタントのシニアマネジャー、マット・マンデー氏は調査対象となった有権者に共通する懸念としてプライバシーを挙げ、この問題はここ10年間、大手ハイテク企業を巡る議論の中心的な位置を占めてきたと説明。
「有権者が最も心配しているのはプライバシーだ。AIだけではない。TikTokを巡る地政学やデータ収集、プライバシーはリアルな懸念だ」と同氏は語った。