大河『光る君へ』道兼役も話題に。玉置玲央が挑む「伝説の舞台」は「“宝物”を交換している感じ」
新メンバーたちによる発想のやり取りが、この作品に新しい命を吹き込んでいる
――10年前に出演されたときの印象と、現在、お稽古されている印象と、作品に関して感じる“違い”みたいなものはありますか? 具体的な部分でいうと、出演者の年齢差がギュッと縮まったんです。僕が39歳で最年長。最年少でも30歳なので、年齢差は9歳。年齢差が縮まったからどう変わったというのはまだ掴み切れてないのですが、作品が若返っている印象はすごくあります。 リアルな会社で言ったら役柄の社長や部長と部下が9歳差では説得力がないのかもしれませんが、僕自身、『朝日のような夕日をつれて』はファンタジックな作品だと思っているので、そのフィールドをお借りして取り組んでいるという感じです。 新しい顔ぶれだからかもしれませんが、新しい発想もどんどん出てきているんです。2014年とは違う新鮮さがあります。作品が少しずつ変容している、その姿を目の当たりにできている感じですね。 ――10年ぶりにご一緒される鴻上さんにはどんな印象を持たれましたか? 全然変わらないです(笑)。元気ですし。 僕が言うのはおこがましい話ですが、以前よりも“まろやか”になったという印象はありますね。俳優から出てくるものを受け入れてくださる門戸が、さらにさらに広くなった感覚です。昔から何でも拾ってくださる方でしたけど……。あと、どれだけふざけても怒られない(笑)。10年経っても居心地がいいです。 ――今回ご一緒される皆さんについての印象をお伺いできますか? 一色洋平さんは十数年前から面識があって、いつか共演できたらいいねみたいなことを話していました。今回念願かなって初共演で、しかも僕が10年前に演っていた少年役を洋平がやるので、すごく感慨深い思いで見てしまいますね。稽古中も10年前の自分を見ているかのような瞬間があって、「洋平、頑張れ!」といつも思っています。 稲葉友さんは2回ほど共演をしていて、交遊もあるので「久しぶりの共演楽しいね」って言いながら稽古をしています。10年以上前に共演して、改めて一緒になると、変な話ですけど「お互いオトナになったね」みたいなしみじみとした思いを共有してます(笑)。 安西慎太郎さんに関しては、僕は初めましてなんですが、すごく引き出しの多い役者さん! カッコつけることも抜くこともできるし、肉体もしっかりしていて声もちゃんと出る。鴻上さんが「簡単にやれる作品じゃないけど、新しい『朝日』作るための役者が集まった」ということを仰っていたのですが、慎太郎を見ていて、その意味がすごくわかると思いました。 小松準弥さんも舞台を観たことはありましたが、ご一緒するのは初めて。準ちゃんは相方役なので、すごく不思議な感覚です(笑)。甘えさせてもくれるし、甘えてもくれる。役の上での役職も年齢も準ちゃんのほうが上の設定で、実際は僕のほうが年上なので、その辺りのバランスが、稽古をしていても、休憩中にセリフを合わせたりしていても、すごく面白い。あと、顔がすごくキレイなんです。お芝居中にすごく間近で準ちゃんを見るので、その度に「なんてキレイな顔なんだ!」と思っています(笑)。 ――新しいメンバーで行われているお稽古場の印象を教えてください! 自分の文脈にないものが出てきたり、経験にないものが出てくるんですよね。それがこの『朝日~』の作品に合っていると思います。その時代のイキのいい俳優……って、自分で言うのも変ですけど(笑)、たちが、この作品を演じることによって生まれる科学変化や新しい面が『朝日~』という作品の醍醐味になっている気がしていますね。 少なくとも10年前は、僕は先輩たちに食らいついていくという感じが強かったのですが、今は、新しいメンバーで新しい感覚で新しい引き出しをみんなで開けている感じ。それぞれが持っているいろんな宝物を「俺、こんなん持ってるよ」「俺はこれ」と言いながら、それを交換しているような感じでやれているのが楽しい。今回の座組の面白いところだと思っています。 玉置玲央(たまおき・れお) 1985年3月22日生まれ、東京都出身。劇団『柿喰う客』所属。劇団以外でも、『リア王』『ジョン王』『パンドラの鐘』『Birdland』など数多くの作品に出演。近年は映像での活躍も目覚ましく、初出演映画『教誨師』では自己中心的な死刑囚・高宮を好演し、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。2023年『大奥 Season2』の黒木役、2024年大河ドラマ『光る君へ』では藤原道兼役を好演。今最も注目される俳優のひとり。
前田美保