米資金調達コストが急上昇-年末の制約を想定しトレーダー殺到
(ブルームバーグ): トレーダーは米国の資金調達市場に殺到しており、2024年末まであと1カ月余りとなった今、資金調達コストは懸念すべき水準まで上昇している。
年末に向けた翌日物一般担保レポや住宅ローン担保証券(MBS)担保レポの金利は急上昇している。こうした上昇を受け、ウォール街の一部では、年末の規制上の制約によりレポ市場の大口参加者の一部が取引を手控えると見込まれる中で、さらなるボラティリティーに備えている。
TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、ヤン・ネブルジ氏は、これほど早い時期に年末の懸念が織り込まれ始めたのは何年ぶりだろうかとした上で、「ボトルネックがあるのは明らかで、年末に近づくほど悪化するだろう」との見方を示した。
カーバチュア・セキュリティーズによれば、12月31日から来年1月2日までの翌日物レポの取引は先週5.6%まで金利が上昇し、その後5.45%に後退した。今月早い時期は4.85%だった。同時に、MBS担保レポでは20日に5.69%まで上昇し、15日の取引の5.55-5.65%を上回った。
年末の制約がさらに厳しくなるため、翌日物資金調達市場の変動が大きくなる懸念がある。これには、12月31日の国債入札の決済額が1470億ドル(約22兆7000億円)と、9月30日の決済額より約25%大きいと推計されることや、銀行が年末の規制対応でバランスシートを整理するためレポ取引を縮小することなどが含まれる。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米金利戦略責任者、マーク・カバナ氏は19日に開催されたニューヨーク連銀のFX市場構造会議で、「ディーラーのバランスシートは現在かなりいっぱいになっている」と指摘。「通常、年末にこのような状況を目にするが、これほど深刻な状況が見られなかった分野でディーラーの仲介に課題が生じている」と指摘した。
さらに、株式を担保とするレポへの追加需要が市場の緊張を一層高めている。JPモルガン・チェースによると、S&P500種株価指数が今年最高値を更新し、レバレッジ株式エクスポージャーに対する投資家の需要が旺盛であることから、ディーラーがレポの資金調達に必要とする株式担保の量も膨れ上がっている。その結果、ニューヨーク連銀の最新データに基づくと、プライマリーディーラーのエクイティ担保によるレポの総額は13年4月以来の高水準をわずかに下回る水準にある。