5日間の暴飲暴食による体重への影響はほとんどなし? 研究により判明
急激なカロリー増加に体はどう対応する?
ディーキン大学の研究者らは、短期間の摂取カロリー増加に対し、体は炭水化物の利用を優先すべく代謝を切り替えることで対応すると指摘。実際これは、短期的な過食がまず肝臓、次に筋肉の機能を損なうという研究者の当初の仮説に反している。主任研究者であるディーキン大学運動栄養科学部教授のグレン・ワドリー博士によると、炭水化物利用への切り替えがこの仮説を防ぎ、短期的なメリットをもたらすという。 この早期の適応により血糖値に対する体の反応が均一化される可能性があります、とワドリー博士。これこそが、超加工食品を5日間食べたあとでも、空腹時の血糖値に変化がなかった理由かもしれない。とはいえ、この炭水化物利用は長期的には機能せず、28日間の過食期間後、空腹時の血糖値はわずかに高くなった。
ただし、この研究には制限がある。もっとも注意すべきなのは、この研究のサンプル数が非常に少ないこと、また若くて健康な男性のみを対象に行われたことだ。さらに、「食事の時間」に至るまでの条件も厳しく管理されており、参加者は実験が始まる48時間前から運動とアルコールを控え、前日にはオーストラリアの一般的な食事構成に基づいた主要栄養素(炭水化物55%、脂肪30%、たんぱく質15%)を含む指定の食事を食べていた。 さらに過食期間中も、同様の主要栄養素の割合が保たれていたという。ワドリー博士は、脂肪の多い食事を継続的に食べていると代謝系障害の兆候が悪化するか、その兆候が早く現れる可能性が高いでしょう、と指摘している。 また、進化論的な観点から見ると、飢餓に備えるために体がこのように反応している可能性があります、と説明するワドリー博士。これはつまり、体の適応力が非常に高く、短期的なニーズ予測に基づいてエネルギー消費量に変化を与えられることを意味する。
とはいえ、加工食品の過剰摂取が何週間も何ヶ月も続くと、インスリン抵抗性のリスク増加といった基礎疾患につながる恐れがある。インスリン抵抗性は、体が血糖を容易に吸収できないときに起こり、血糖値を上昇させて糖尿病前症や糖尿病になる危険性が高まる。 ワドリー博士は、幅広い年齢の人や女性に対してさらなる研究を行う必要があると補足。「定期的な暴飲暴食に問題がないと言っているわけではありません。それでも、健康の観点から見て、お祝いや連休などによる短期間の過食に対し、体は長期的な影響を受けることなく対処できるようです」と彼は語る。 また、体重を減らすことが目標の場合、カロリー計算だけが重要となるわけではない。カロリーへの執着は、食べ物や運動との間に不健康な関係を生み出す恐れがある。定期的にランニングをして、加工食品よりも新鮮で栄養価の高い食品を優先し、必要な時にご褒美を許容すれば、健康維持のために正しい選択をしていると自信を持てるはず。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images