二刀流日本人メジャーリーガーの現実味
二刀流ではなく、野手→投手、投手→野手の転向組はマイナーレベルも含めるとザラにいる。パドレスの投手ケイシー・ケリーは、マイナーの1A時代、シーズンの上半期は投手として投げ、下半期は遊撃手としてプレーした。ブルージェイズの右腕セルジオ・サントスは、遊撃手として2002年のドラフトで指名されたが、打撃不振のため2009年から投手で再出発。10年に念願のメジャーデビューを果たし、翌年30セーブを挙げた。 マイナーリーグで4球団12年間の監督経験を持つレッドソックスのベイラー・一塁ベースコーチは言う。「バッティングとピッチングの両方に才能のある選手が両方を兼任するのは、2Aまで。3Aのレベルでは大抵がどちらかを選択する。3Aでも先発投手は中4日で投げる。登板間に休養日があり、ブルペンに入る。打撃や守備練習をしている時間はない。野手から投手、投手から野手への転向は今も結構あるが、それは、本職で芽が出ず、メジャーに上がれなかったから、セカンドチャンスとしての場合が多い。『打てないが、肩が強い』とか、『ストライクは入らないが、遠くに飛ばせる』というような才能がある場合だ。ルースのように野手と投手の掛け持ちは、今の時代もう出てこないと思う」。 取材の最後にショーウォルター監督が聞いてきた。「で、その選手、何て名前なの?」と。「ちなみに100マイル(時速160キロ)投げるそうですよ」と付け加えると、隣にいた広報担当がすぐにスマートフォンで大谷の成績を検索し、指揮官に差し出した。「100マイル投げて、左打ちか…。Aha! (ふむふむ)」。ショーウォルター監督がウインクして言った。「じゃあ、(二刀流)できるかもねぇ!」。