あの敗戦を忘れたことは「1日もない」。市立船橋、U-18日本代表CB岡部タリクカナイ颯斗主将は国立に戻れず千葉準決勝で涙
[11.3 選手権千葉県予選準決勝 市立船橋高 1-1(PK1-3)日体大柏高 柏の葉] 【動画】あのちゃんがサッカー上手すぎ…W杯優勝FWが驚愕「自分の同僚とやってる感覚だった」 国立に戻ることはできなかった。前回大会で全国3位の名門・市立船橋高は、千葉準決勝で敗退。0-1の後半13分にFW伊丹俊元(3年)が同点ヘッドを決めたが、後半終了間際の決定機を逸すなど2点目を奪うことができない。1-1のまま延長戦後半を終了。PK戦でGKギマラエス・ニコラス(3年)が先に止めたものの、その後3人が失敗して日体大柏高に敗れた。 U-18日本代表のCB岡部タリクカナイ颯斗主将(3年=柏レイソルU-15出身)は、「1試合通して自分たちの方がチャンス多かったし、押し込めてはいたと思うんですけど、やっぱり1発勝負は自分たちに来たチャンスを決められないと、ああやってどんどん相手に流れがいっちゃうと思うんで、やっぱ決め切るところで決めないと、こうなるかなっていう感じです」と唇を噛む。 そして、「延長になってしまうっていうのも自分たちの力の無さだし、延長で決められないのも、PK戦になっちゃうのもやっぱ全部自分たちに力が無いからだと思うんで。選手権に出るってのは、やっぱりそんなに甘くないし、人生そんな甘くないんだなって凄く感じています」。今夏のインターハイで全国8強入りし、プレミアリーグEASTは前期の未勝利から後期は5勝2分1敗。現在、6戦連続不敗と好調を維持していたが、選手権予選を勝ち抜くことは難しかった。 波多秀吾監督は、「やはり選手権は別物だというのは凄く感じます。これはどのチームと当たってもやはり怖さはありますし、難しいゲームになる。いつも以上の力が発揮できないし、市船にっていうことで、気迫を持ってやってくる。そこに勝つだけのメンタリティーを持ち合わせなければいけないし、日々の日常のトレーニングから技術、戦術だけじゃなくて、そういう部分もしっかりと積み上げていかないといけないなというのは、改めて感じたところです」と語った。 この日、岡部は相手のカウンター攻撃を一人で止め切るなど、3バックの中央で好守を連発。1対1の勝負でも再三相手を上回ったほか、味方の背後を的確にカバーするなど日体大柏の前に大きく立ちはだかっていた。 だが、延長前半6分に日体大柏FWの裏抜けにファウルしてしまい、イエローカード。さらに、延長後半6分に相手のカウンターになりかけたシーンでファウルをしてしまう。味方のボールロストをカバーしようとしてのプレーだったが、対応が遅れる形となり再びイエローカード。これで退場することになった。 「全部カバーするのが自分の仕事だと思うんで、自分の力不足かなと思います。(今日は)結構、自分でも止めれてるとは思っていましたけど、足もどんどんキツくなってきて。やっぱ10回あって9回止めても、やっぱその1回でやられたら、その9回止めたのは無駄になっちゃうと思うんで。何回来ても止めれるようになんなきゃいけないと思いました」と悔しがった。PKを得意とする岡部がPK戦に残っていれば、また結果が違ったかもしれない。だが、主将はピッチ外で仲間の敗戦を見ることになった。 岡部は昨年度の選手権で2試合に先発するなど4試合に出場。3回戦(対星稜高)で決勝ヘッドを決めるなど活躍したが、交代出場した準決勝(対青森山田高)では公式戦で初めてPKを失敗し、PK戦敗退を経験している。「もう負けた瞬間から選手権っていうものを忘れたことは1日もないし、常に何度も何度もイメージしてやってきたんで……今、なんか何も考えらんないです」。国立へ戻って勝つ、日本一になるという夢は千葉準決勝で潰えた。 今後、大学へ進学する岡部は、「やっぱり市船に入ってここまで成長させてもらったんで。去年の選手権は負けて悔しさを忘れなかったから、こうやって成長できたと思うんで、やっぱりこの悔しさ忘れずに、絶対にプロになって、日本代表でまた大きな舞台に帰ってこれるように頑張ります」と誓った。 後輩たちには、「やっぱ去年の3年生が温かいことを、『来年、頑張れ』って言ってもらったんで、1、2年生はみんなほんとに頑張って欲しいし、市船のために来年も頑張って欲しいんで、そこは応援しています」とエール。3年生たちはプレミアリーグEAST3試合を残している。降格圏の11位から「3年生が責任を持ってチームを引っ張って、プレミア残留は必ずさせて、1、2年生に来年もプレミアの舞台を残せるようにしていきたいです」と岡部。必ず残留を勝ち取り、使命を果たして卒業する。