【イベントレポート】「HAPPYEND」ヴェネツィア映画祭で上映、空音央らに鳴り止まぬ拍手と熱い歓声が
第81回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品された「HAPPYEND」のワールドプレミア上映が9月2日に行われ、監督の空音央、キャストの日高由起刀、林裕太、シナ・ペン、ARAZIがQ&Aに登壇した。 【画像】ヴェネツィア国際映画祭の様子はこちらから 同作は、決して遠くはない未来を舞台に、幼なじみの大親友ユウタとコウを軸に友情の危うさを描いた青春映画。2人のいたずらが大騒動に発展して学校にAI監視システムが導入されたことをきっかけに、自らのアイデンティティと社会への違和感について深く考えるようになったコウと、仲間と楽しいことだけをしていたいユウタが少しずつすれ違う様子がつづられる。 「HAPPYEND」は、同部門唯一の日本映画ということで注目度が高く、チケットは発売と同時にほぼ完売になったそう。上映後には、1400席の劇場を埋め尽くした観客から、鳴り止まない拍手と熱い歓声が贈られた。 前作「Ryuichi Sakamoto | Opus」に続き、2年連続でヴェネツィア国際映画祭に参加した空は、若者が主人公の映画を撮ったことについて「高校時代は、大人ではないが、大人の世界に足を踏み入れ始めているという曖昧で多感な時期。当時を振り返り、自分がもっと友達について気付いてあげるべきだったこと、もっと友達に自分のことを知ってほしかったことなど、親友との日々や関係性を描こうと思った」と言及する。そして日高らキャストたちは、自身のバックグラウンドに近い役柄を演じ、お互いに友情を育んだことでリアリティのある映画になったと明かした。 ワールドプレミア上映を終えた空は「上映のあと、本当にたくさんの人が僕に映画の感想とともに自分の話をしてくれました。この映画は日本の話ですが、世界の多くの人が似たような感情を抱いているのだと感じました。この映画が自分に刺さったと皆さんが話してくれて、感慨深いです」と心境を伝える。同作は海外プレスからも高い評価を受け、アメリカのHollywood Reporterには「巧みなバランス感覚で、ほろ苦く切ない学校卒業前の大人になる過程のドラマを、温かい観察眼と学校という世界の縮図を通した社会性を示しながら見事に描いた」、イタリアのMovieplayerには「空には、完璧な構図で映像を構築する才能があり、効果的なショットによって登場人物たちが生き生きとしている」とレビューが寄せられている。 なお、同作は第49回トロント国際映画祭、第62回ニューヨーク映画祭、第29回釜山国際映画祭でも上映される。 「HAPPYEND」は10月4日に東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国でロードショー。 (c) 2024 Music Research Club LLC